研究課題/領域番号 |
25420625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
宮脇 勝 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30280845)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 風景権 / ランドスケープ / 欧州 / 都市再生 / デザイン / 市民参加 / 再開発 / 文化的景観 |
研究概要 |
本年度の研究実績として、次のようなランドスケープに関わる学術論文、一般雑誌論文、図書を発表し、国内外の調査を行なった。 査読付き学術論文は、「宮脇勝、岩田純、東京タワーから見た富士山の歴史的眺望保全に関する研究 -東京タワーの歴史性と展望台から見た富士山への眺望景観アセスメント-、日本都市計画学会論文集、No.48-3、2013年11月、pp.1047-1052」である。その他に、国内外の環境系、景観系の3本の論文を投稿し、合計4件が審査が通っている。 一般雑誌論文は、「風景権と市民参加 -欧州ランドスケープ条約の原点-」(ランドスケープデザイン、Vol.89、マルモ出版、2013年4月)、その他に2件が、掲載されている。 さらに、ランドスケープに関わる図書として、「ランドスケープと都市デザイン」(単著、朝倉書店)と「欧州のランドスケープ・プランニングとプロジェクト」(単著、マルモ出版)の2冊を出版し、研究内容を公表した。 また、海外調査として、2014年3月に、欧州評議会にて、風景権と風景計画に関わる研究打ち合わせを行なった。一方、都市景観再生事例として、ハンブルグ市、ベルリン市、リール市、パリ市を調査し、情報収集にあたった。国内調査としては、帯広市、清水町、富良野市、旭川市の景観の現地調査を行った。 本年度までに行なった研究成果の一部を、日本都市計画学会大会発表会で講評した。また、日本イコモス国内委員会の講演会で、景観の専門家に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の目的に照らし、本年度、本研究の初期段階で最も重要と考えていた調査である、欧州評議会での研究打ち合わせが予定とおり行なわれたからである。風景権や環境権に関わる基本的な資料の収集が、予定よりも早く、順調に行なわれた。 現地調査についても、国内外とも予定通り実施できた。特に、フランス、ドイツにおける景観整備事例の収集が進んだ。 研究成果物としては、査読付き学術論文4件(うち3件は2014年4月発表)、雑誌論文3件、著書2冊と、予定より非常によく進んだ。 ただし、人権に関わる欧州の取り組みが進歩的なのに比較して、日本における風景や環境に関わる人権の保護が確立されておらず、その難しさがより鮮明となってきた。このため、日本で風景権を比較分析する際には、日本での導入方法に必要な課題を整理する部分について考察するには、もう少し時間を必要と予想される。国内の環境法の研究例の収集、行政の取り組み情報の収集、専門家との研究打ち合わせがさらに必要である。 以上、総合的にみて、計画以上の達成度と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、先進事例の現地調査や、欧州ランドスケープ条約の国際会議、国内外の研究者間の交流を通じて、情報収集を継続したい。このため、国内外の広範な調査を継続する必要がある。 一方、上記のように、日本での風景権の導入方法には、論理的な構成から始まり、十分に整理する課題が見受けられたため、さらなる国内外の専門家間の研究打ち合わせによって、解決策の糸口を探る必要があると、考えている。特に、環境権、環境法、景観法に関わる国際的な視点が重要である。 今後も、学術研究論文の作成、雑誌論文の作成、著書の出版、学会発表など、本研究に関連して、可能な部分から随時公表しつつ、少しずつではあるが、この研究の難しい部分を深めたいと考えている。
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