研究課題/領域番号 |
25420627
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横山 ゆりか(今井ゆりか) 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20251324)
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研究分担者 |
伊藤 俊介 東京電機大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50339082)
横山 勝樹 女子美術大学, 芸術学部, 教授 (20230659)
長澤 夏子 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (70308188)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | プレイス・アタッチメント / 住宅地計画 / 子ども / ニュータウン / 首都郊外 / ニュータウン育ち / 第一世代 / テキスト分析 |
研究実績の概要 |
新奇な計画の郊外住宅地へのプレイス・アタッチメントの醸成を知るために、近年新奇に計画された中庭型集合住宅地区と、高度経済成長期に新奇な計画として導入されたニュータウンの計画住宅地との2種類の住宅団地で、プレイス・アタッチメントに関するアンケート調査およびインタビュー調査を行い、分析する研究である。 中庭型集合住宅地区をとりあげ、そこにおいて平成25年度に子どもに対するプレイス・アタッチメント指標を作成して調査を行ったが、本年度はまずその結果を統計分析し、結果をまとめて人間・環境学会(MERA)第21回大会にて発表した。周りの市街とは全く異なる計画の集合住宅地区であるにもかかわらず、子どもたちは愛着を形成していることがうかがわれた。また子どもたちが気にいっている場所があげられ、中でも小学校に自宅マンションと同程度の強い愛着を持つという特徴があることが指摘された。さらに、子どものプレイス・アタッチメントの詳細を知るための詳細なインタビュー調査を行い、愛着を持っている場所に対する子どもの語りを収集、整理した。 一方、いわゆるニュータウンにおける大人へのプレイス・アタッチメントの調査については、調査結果をまとめて分析を行い、日本建築学会およびIAPS国際会議にて発表した。Hernandezらの指標を用いたときに欧米と同様にニュータウンに当初入居した家族と新住民との差が現れる可能性を示唆した。また両者への詳細なインタビューから、当初入居した家族でも、愛着のある風景としてニュータウン外に残された田園の風景があげられること、新住民には敢えて好きな街であるにもかかわらず愛着をなるべく持たないようにしたいアンビバレントな感情があることがあることなど、ニュータウンの特徴と見られるプレイス・アタッチメントの様態を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要な調査がほぼ予定どおり実施され、分析の段階に入った。また段階的に分析結果を発表しつつある。一方で、中庭型集合住宅地区においては、子どものデータと対照するための大人のプレイス・アタッチメントのデータをとることによって、これまでの調査結果を補足し論理の完成度を上げる余地がまだある。また、ニュータウンにおいては、調査人数を追加して結果をより明確化する余地がまだ残っている。順調ではあるが補足調査の余地があるので、概ね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
調査についてはおおよそ実施できたが、ニュータウンの調査については調査対象者数を増し、結果をより明確にすることを予定している。また、中庭型集合住宅地区については本年度で得られた子どものインタビューデータのテキスト分析を進めるとともに、大人に対する補足調査を追加する。 以上の補足調査は発生するが、平成27年度は主として得られた結果の分析を進め、国際会議等で発表する予定である。最終的には、2系統の調査結果をつなげて、新しい計画・景観の場所へのプレイス・アタッチメントの醸成プロセスを記述すると同時に、場所の語られ方の定量分析からプレイス・アタッチメントを推定し、計画と対照する手法を提案することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度研究分担者2名の海外学会発表を予定しており1名が発表を行ったが、もう1名は就職活動の都合等の理由からやむを得ず海外発表を断念したため、相当額の未使用となった。また研究分担者1名は学生を使ってニュータウン調査を追加するための謝金を予算に計上していたが、調査規模が予想を下回ったために謝金を中心に未使用の額が生じた。3人目の研究分担者は、学内業務との関係から文献整理を中心とした研究を遂行し物品を少々購入したが、研究室の運営費に計上したため、物品費小額が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
海外発表相当額については、未使用の研究分担者が異動のため次年度も海外発表ができない事情となり、代わりに中庭型集合住宅地区の大人に対する補足調査を担当することとし、調査に必要な調査対象者謝金、PC、統計ソフトにその金額を充当することとする。 ニュータウン調査担当の分担者については、未使用額を謝金に用いて次年度に調査対象者を追加し結果をより明確なものとするとともに、残りを上記分担者に代わり海外発表を進めるための旅費に補填することとする。 3人目の分担者の未使用分は引き続き物品購入費用とし、次年度に消化することとする。
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