研究課題/領域番号 |
25420629
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大原 一興 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 教授 (10194268)
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研究分担者 |
藤岡 泰寛 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (80322098)
江口 亨 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (60599223)
妹尾 理子 香川大学, 教育学部, 教授 (20405096)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢化 / 高台丘陵地 / 郊外住宅地 / 空き家 / 転用 / 福祉コンバージョン / 空き部屋活用 |
研究実績の概要 |
高度経済成長期に住宅地建設された大都市周辺の郊外の高台丘陵地住宅地においては、少子高齢化とともに空き家の増加が目立っている。高齢化による様々な社会サービスの増加やまちの活力低下にともなって住民生活へ影響が大きいことが懸念されている。このような地域において、地域の資本を活用し超高齢社会に対応させて日常生活を社会システムとして維持し、新たなライフデザインを高齢者自らが気づき構築できるようようなまちづくりのモデルの開発が求められている。このため、研究2年目になる時点において、このような典型的な住宅地のひとつ、鎌倉市今泉台地域において、初年度に悉皆調査をおこなった空き家の対象事例を探し、さらに具体的な空き家改修モデルの実現にむけて研究を進めた。 ・当初設置した商店街の空き店舗における住民交流拠点において、それをきっかけとしてコミュニティ活動が展開してきた過程を、利用者の口述聞き取りによって分析した。 ・昨年の世帯単位での調査では明らかにならなかった個人の意識や日常生活行動などについて、個人単位のアンケート調査により、住民のニーズとその構造を把握した。 ・実際の空き家所有者に対して、調査をおこない、空き家提供者を探し、具体的にその活用方法について、町内の住民による検討をすすめた。 ・具体的に空き家を改修して、住民の求める機能についてそれを実現させるための建築設計、法的制約などについての検討、および工事にあたっての課題への解決法の模索を具体的におこなった。 ・空き家改修後の住民利用空間への展開について、具体的にそれを運営していくための組織が必要との結論から、町民による有志をつのりNPOを発足させることにし、本年度内に組織化をすすめ、次年度早々に申請することとなった。なお、このNPOにより、継続的に空き家調査と必要な機能へのマッチング活動がおこなえることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画として考えていた高齢者のための将来設計学習システムについては、本年度中にはワークショップを実施できなかったが、その教材としての住宅内事故に対する危険予知のための資料の作成は終えている。他の参考とすべき地域の事例については、本年度ではあまり有効な知見を得ることはできなかったが、今回集中的に試行的におこなっている空き家改修・転用に関する具体的な隘路や制度の困難性などが明らかになり、より現実的なレベルでの知見が非常に多く得られた。また、次年度に具体的に改修と転用が実現するはこびとなったことは、大きな成果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる年度には、一応のまとめとして、これまでの一連の考察モデルの評価とまとめをおこない、この住宅地における検討の経緯を他地域にも適用できるような表現方法と普及方法を考案する。具体的には研究成果として学会等へ発信するとともにパンフレットなどによって普及をはかりたい。 他の高台丘陵地においても、調査を試行し、既存の地域環境条件の違いによる相違などを明らかにすることによって、より普遍的なモデルへと展開をはかる。 マッチングシステムについては、実際に試行しているウェブサイトの情報についても、考察を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた住民への悉皆アンケート調査の費用が、現実には町内会の全面的な協力のもと、配布等がおこなわれたため、人件費等に大きく節約ができた。実際の空き家改修工事については、次年度に実施することとなるため、これにかかる補足的な物品費なども繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
空き家改修に関わる実際の実験的作業のための人件費と、最終的に普及のための資料化をする印刷費などに充当する。
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