研究実績の概要 |
平成27年度は,前年度までに開発した手法を改良し,梅田地下街の歩行者滞留データに適用した.分析手法の主な改良点は,誤差関数の変更と,整数計画問題の凸領域制約の精密化である.これまでは誤差関数としてBalanced Classification Rate, BCR=(Sensitibity+Specificity)/2を用いて誤差関数を構成したが,評価がアンバランスになることを防げなかった.そこで今年度は,両者のバランスを考慮したRoot Squared Balanced Error Rate, RSBER=((1-Sensitibity)^2+(1-Specificity)^2)/2)^1/2を提案し,混合た.また,潜在的なイベント発生領域が複数のイベント発生点にまたがるセルの場合,混合整数2次計画問題における凸領域形状の制約が,関連イベントセルのor条件となるので,その点について改良を行った. 対象地域は,地下鉄御堂筋線南改札口を出た,方向感覚が狂いやすいことで有名な広場である.対象地域を50cmのセルに分割し,H27年5月12日の11:00~11:30に現地調査を行い,約30秒以上立ち止まっている人を滞留者として,その位置を最寄りのセルにプロットした.各要素について2次元の可視領域解析を行い,得られたIsovist Fieldに関する特徴量を各セルの中心で求めた.検証を行った結果,バッファを設けない場合の分類精度が全体精度で約0.55だったのに対して,提案手法によりバッファを最適化した場合,それが0.8程度まで上昇し,実データで良好な結果が得られた. 最終的な分析手法をソフトウェアとして実装している.実装はC++で行い,インターフェースの整備やデバッグが完了次第,申請者のHPにて公開する予定である.
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