洋館付加住宅のこれまでの形態・意匠や用途構成の解釈は一面的であり、また、少なからず誤謬があった。このため、全国を渉猟する目視調査と訪問ヒアリングを実施し、近代住宅計画史的に正しく位置づけることとした。 平面構成のうえでは、付加された洋館部は必ずしも玄関脇に隣接していない例も確認され、洋館居室の建設時の用途についても、私室や家族共用室として、あるいは、稼業のために設けられるものもあった。応接利用として計画された場合にも、食事・宿泊や多人数接客の際には座敷が用いられることが標準的で、このため、家族生活の飛躍的な改善には至らなかったという、和洋折衷の限界を示唆した。
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