研究課題/領域番号 |
25420642
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
鳥海 基樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20343395)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グラン・パリ / グレーター・ロンドン / ケン・リビングストン / アンヌ・イダルゴ / クロスレール / グラン・パリ・エクスプレス / シャンパーニュ / 世界遺産 |
研究実績の概要 |
パリ市及び周辺3県による大都市圏創設が2016年1月1日に予定される一方で、2015年3月にフランスの県議会の統一地方選挙があったため、顕著な動きがなかった。そのため、現状のフォロー・アップを適宜進めつつ、以下の作業を行った。 1.2014年のフランス全国都市計画機構連盟(FNAU)総会で知己を得たパリ政治学院(通称Sciences-Po)のフロラン・パルマンティエ氏に同学院のイレーヌ・ムブアナ女史を紹介いただき、グラン・パリ計画の財政的側面について聞き取り調査をした。ロンドンのクロスレール事業と同様、起債と将来の開発利益の還元を見込んだ財政計画だが、起債重視となる見込みであることを確認した。 2.上記女史の比較研究に触発され、グレーター・ロンドン・オーソリティの都市デザインに関して研究を進めた。1997年のトニー・ブレア率いる労働党の政権奪取で、1980年代にマーガレット・サッチャー首相により廃止された上記オーソリティが復活したもの、ケン・リビングストン市長のロンドン・プランは超高層建物を許容するもので、ロンドンの伝統的スカイラインが大きく変容した政治的背景を把握した。パリでも2014年3月に誕生したアンヌ・イダルゴ市政は、ベルトラン・ドラノエ前市政を継承して超高層建物の建設許容に舵を切りつつあるため、その比較対象として興味深い平行性と思料した。 3.上記パルマンティエ氏の示唆で、シャンパーニュ地方の世界遺産登録の研究に着手した。これは319基礎自治体を覆う原産地統制呼称(AOC)エリアを、景観保護を補助線とした世界遺産登録で貫く行政区画不問のプロジェクトであり、これまで大都市にしか向けてこなかった視線を農村部に向ける良い契機となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラン・パリ計画のフォロー・アップは当該プロジェクトの遅延もあり顕著に進展した訳ではないが、ロンドンとの比較衡量による政見の相違による都市デザインの表象や、これまで等閑視してきた農村部に於ける行政区画不問のプロジェクト都市計画に着手できた点で、上記の自己評価とする。
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今後の研究の推進方策 |
グラン・パリ計画のフォロー・アップは当該プロジェクトの進展具合にも左右されるので、本年度はシャンパーニュ及びブルゴーニュの世界遺産登録を研究し、農村部に於ける行政区画不問のプロジェクト都市計画の分析を深化させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度研究会で得た情報が多く、その読み込みを優先して現地調査回数を減らしたため
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は全国都市計画機構総会(FNAU)を含め、現地調査を充実させる
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