グラン・パリ大都市圏共同体が2016年1月1日に発足したが、結局、権限の少ない曖昧な位置付けしか得られず、トップも無名の政治家が就任した。そのため、適宜グラン・パリに関する情報を収集しつつ、以下の研究を併行して進めた。 1.2015年度フランス全国都市計画機構(FNAU)総会で聴講した、節度ある郊外開発のあり方の探求のため、これまでの商業都市計画などのレビューに着手した。また、同2012年度大会(アミアン)の資料を入手し、読み込みを始めた 2.自治体ではなく商業団体が広域的なプロジェクト都市計画を主導する事例として、2015年に世界遺産登録されたシャンパーニュの研究を進めた。シャンパンの呼称保護や世界的販売網の構築を担う組織が世界遺産登録とプロジェクトを軸に、自治体を巻きこみ都市計画の立案を促すダイナミズムを明らかにしつつある。 3.他方、文化施設の建設をプロジェクトの軸としてユーロメディテラネなる都市デザインを進めるマルセイユの研究を進めた。2013年の欧州文化都市開催のため準備された文化というキイワードの下、社会的連帯も絡めて都市計画の進展を明らかにしている。
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