工事売掛債権流動化の導入効果の定量化と評価 前年度までの成果をふまえ、パラメータとして、工事の規模、工期の組み合わせ(生産性)、発注者の支払条件(公共と民間)、ゼネコンと1次下請間の支払条件(現金支払率、手形サイト)を扱い、各主体の資金調達コスト等により工事売掛債権流動化の導入効果を定量的に把握した。その評価は営業利益の資金フローの過程で生じるゼネコン、1次下請の借入利息に対する倍率、インタレストカバレッジレシオで実施した。その上で、ゼネコンと1次下請の利息収支やインタレストカバレッジレシオは相互に依存したゼロサムゲームの性質を持つことを確認し、上位にあって受注機能を持つゼネコンと現場労務管理を握る1次下請間の協調的政策の成立条件を明らかにした。これに加え、手形割引、一括ファクタリング、ゼネコンによるキャッシュマネジメントなどの手形、工事売掛債権流動化の効果を確認した。 マルチプロジェクトの資金繰り検討 さらに、このモデルから得られる個々のプロジェクトのキャッシュフローの系列を複数束ねたマルチプロジェクトや企業全体の資金事情を観察した。資金事情は工事着手のタイミング、キャッシュフローの条件の異なる民間工事と公共工事のブレンド等によって変わることを確認し、資金事情に考慮した効率的な受注戦略を探索可能とした。一部、企業の財務データを入手し、シミュレーション結果と照合した。 成果の外部発表の準備 海外の関連学会、ISARC(国際建設ロボットシンポジウム、2016年7月18日~21日、米国、Auburn University)に投稿、参加するための論文執筆(論文英訳とネイティブチェック)等の準備を進めた。
|