本研究の目的は、建築プロジェクトによって生じるキャッシュフロー対して、支払条件や金利をパラメータとしてファイナンスコストを算出するシミュレーションシステムの開発である。これによって求めた、ゼネコンと一次下請の利息収支確保には、ゼロサムゲームの性質があり、受注機能を持つゼネコンと現場労務管理の実体を握る一次下請は、条件によって、ファクタリングなどの協調的な政策をとる可能性を示した。さらに、シミュレータから得られるキャッシュフローの系列を複数束ねて企業全体に見立てた資金事情の観察から、工事着手のタイミング、民間工事と公共工事のブレンド等によってキャッシュフローや資金繰りを改善できることを示した。
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