平成27年度は、研究の最終年度である。実態調査の継続として共用部分と専有部分の関係が複雑なコーポラティブハウスに焦点をあてて修繕費負担原則と管理規約等の扱いについて整理分析を行うとともに、研究の最終的なとりまとめを行った。 実態調査によって確認できた知見は以下の通り。コーポラティブ方式で建設されたマンションは、新築時の設計段階で専有部分のみならず共用部分まで区分所有者の要望が直接反映されることから、一般的な区分所有マンションに比べ所有区分・管理区分・使用区分の位置づけが不明瞭なケースがある。本調査研究では、タイプの異なるコーポラティブ方式で建設された3マンションの管理規約・使用細則における所有・使用・管理区分の位置づけや修繕に対する記載について、明確に位置づけられていないことが分かった。調査事例の中では、弁護士の協力を得て、管理規約の改定を行った事実もあり、ルール改定にあたっては、技術的判断ができる建築関係者および管理規約等のルールに詳しい法曹関係者による合意形成支援が望ましいことが確認できた。 研究のとりまとめとしては、本研究課題の中核となるマンションの専有部分改修工事に関係したリフォームルールの実態調査結果を日本建築学会大会や同学会・建築生産シンポジウム論文集に投稿・発表した。主要な論点は、この種のルールの策定は重要であるが、区分所有者の要望変化や新しい技術的対応の普及などに伴って必要に応じて内容の改定が重要であるということである。ルールの内容の妥当性について関係者間で丁寧な合意形成を図る必要があることが改めて確認できた。 以上の成果の一部を2016年7月末に開催される日本建築学会・建築社会システム委員会・第32回建築生産シンポジウム論文集に投稿し、採択されている。
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