研究課題/領域番号 |
25420654
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
廣田 直行 日本大学, 生産工学部, 教授 (00277394)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 施設転用 / 統廃合 / 特別法 / 離島 |
研究実績の概要 |
韓国の住民自治センターは,1999年から2002年の3年間にかけて,コンバージョンによって住民自治センター全1759館を設置しており,その後も地域環境に応じて施設が更新されている。ソウル特別市およびその周辺地域での調査では,疎住地と密住地において施設の更新方法に差異があり,また昨年度調査を実施した釜山広域市は,コンバージョンによる施設の統廃合を行い,住民自治センターとして廃止された建物は他の公共施設に再度コンバージョンされている,ということが明らかとなっている。 本年度は,島という地域性を持ち,「済州特別自治道設置及び国際自由都市造成のための済州特別法」の施行による独自の施設更新が考えられる済州島の住民自治センターの更新プロセスを明らかにすることを目的に,施設現地調査と施設管理者に対するヒアリングを行った。 調査は,韓国行政自治部が発した「全国住民自治センター運営現状集」を翻訳したデータシートに記載されている設置当初の施設データ全34館の内,コンバージョンにより整備された33事例から,データシートの住所と現住所が一致しなかった10事例と設置当初に新築で整備された1事例を合わせた11事例について実施した(2014年8月19日~22日の4日間)。 通訳をお願いした金潤煥氏と広田が施設管理者に対してヒアリングを担当し,道都大学の安藤淳一教授と大学院生の金兵祐太君が実測による平面図の作成を担当。近畿大学の井原徹教授が写真及びビデオ撮影を担当した。 その結果,済州島の施設は,コンバージョンによる更新を主としていたソウルや釜山の事例とは対照的に,2006年に施行された特別法により,移転や建替えによる整備をおこない施設配置を変更しており,対象圏域を変更せずに施設数が増加していることが判明した。2014年日本大学生産工学部紀要論文に発表し,また日本建築学会地域施設計画研究33(査読審査中)に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの調査により,大韓民国の広域自治体やその下部組織に置かれた行政単位の違いにより,公共施設の更新プロセスに違いがあることが整理できた。 これまでの調査が順調に進んでいる理由としては,以下の二点が挙げられる。 1.韓国行政自治部が発した「全国住民自治センター運営現状集」を翻訳したデータシートにより,調査対象施設の絞り込みが日本で行えるため,事前準備が比較的容易に進んだ。 2.これまでに度々国内で共同研究を進めてきた関係を持つ,近畿大学の井原徹教授と,道都大学の安藤淳一教授により,現地調査を効率よく分担し進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究の最終年となる。ソウル近郊で過疎化の進んでいる疎住地に対して補完的な調査を実施予定である。その際,昨年度と同様に,予めネット上の地図情報を活用し,調査対象事例を絞り込んだ上で現地調査を進めることとする。また,井原徹教授,安藤淳一教授,現地通訳として金潤煥氏に調査協力をお願いし,担当を明確にして効率よいデータ収集に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
インターネットの地図情報を利用したことにより,調査対象施設の絞り込み作業が事前に行え,調査日程が短縮できた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究最終年度となるため,印刷費や論文別刷り費用の支出にあてる。
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