研究実績の概要 |
研究は、病院の「地震時の初動体制」、「緊急地震速報の利活用」と、高齢者福祉施設の「防災体制」及び、高齢者の「地震動による影響」という4 つのテーマを持ち、それぞれの「課題の検討」、「その分析」、「応用研究」を行った。 1、東日本大震災における病院の被害状況、災害対応と諸課題については、文献、ヒアリング、アンケートなどにより調査・分析した。アンケート調査は、東北地方の岩手・宮城・福島の3県の202施設を始めとして、東北地方以外の全国3,474病院を対象にして645施設から回答を得て、防災計画・防災訓練・初動体制について把握した。 2、病院での緊急地震速報の利用状況については、アンケートにより全国の約3,800の病院を対象に調査を実施し、665施設から回答を得た。その結果、高度利用の緊急地震速報(予報)の導入率が極めて低いことや、導入上の問題点を明らかにした。 3、高齢者福祉施設については、全国の約1,100の特別養護老人ホームを対象にアンケート調査を実施した。これと並行して、施設でのヒアリング調査、津波避難訓練の調査、要支援者の搬送方法についての実験等を実施した。 4、地震動体験実験は、本学の耐震実験センターにて、阪神大震災の観測波に基づいて高層住宅の10階を想定した地震波を入力し、被験者による地震動体験を行った。平成25年度の被験者は若年者と高齢者40名を、平成26年度は60名、平成27年度は70名を対象に実験を行い、生理的変化として血圧、脈拍、唾液アミラーゼなどの生理変化を測定、心理的には、POMS、エゴグラムの心理テストを、意識調査としては揺れに対する官能検査を実施した。27年度の薄暗闇の状況での実験は背臥位姿勢とし、椅子坐姿勢と比較し、年齢差と性差の特徴が確認された。
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