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2014 年度 実施状況報告書

スペイン植民都市図が示す「都市計画」の近代性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25420661
研究機関摂南大学

研究代表者

加嶋 章博  摂南大学, 理工学部, 准教授 (80390144)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードスペイン / 国際情報交換 / 植民都市 / 都市計画図 / 広場計画 / 街区計画 / インディアス古文書館 / 都市形態
研究実績の概要

今年度実績として、スペイン国立インディアス古文書館の地図・都市図部門メキシコ、ブエノスアイレス各セクションのほか、グアテマラ・セクションにも目を向け、都市を描いたイメージ資料の選定を進めた。これらの資料が伝達する情報を吟味し、スペイン植民地時代に「都市を計画する行為」が具体的にどのような行為として捉えられていたかを考察した。都市図選定作業は、選定基準そのものの妥当性を検討しつつ進め、都市図から得られた描画要素はすべて都市図データとして蓄積している。
今年度は、特に市壁の輪郭線の位置を検討した図に着目し、都市の建設場所の選定後、都市の輪郭を決定する作業を示す複数の都市図を比較した。こうしたイメージ資料は、城壁の位置検討プロセスや都市のスケールをどのように決定していたのか、その判断材料を示すものでもある。
考察の成果は、以下の査読論文で公表した。
・KASHIMA, Akihiro: Perspectives on Town Planning in the 16th Century Spanish Colonies, Focusing on a Town’s Scale and its Spatial Structure, Proceedings of the 16th International Planning History Society, University of Florida and Flagler College, St. Augustine, Florida, July 20-24, 2014, Select Full Papers -Volume 1-, 2014, pp.534-545.
・加嶋章博、スペイン植民地時代におけるグアテマラ市都市図の作図に関する一考察、学術講演梗概集 2014(建築歴史・意匠)、日本建築学会、2014, pp.127-128.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

数々ニュータウンを建設した16、17世紀のスペイン植民地時代において、都市を計画するにあたってどのような技術や検討作業が必要であったのかを主としてイメージ資料に描かれた要素の分析を中心に考察を進めている。都市図等のイメージ資料は、複数の資料がある場合など特に描画内容の経年変化や計画(作図)の手順、形態決定の拠り所となる決定要因が窺える場合がある。今年度グアテマラ・セクションから選出した都市の計画検討図2枚は、都市の輪郭を検討する異なる内容を示すものであった。こうしたイメージ資料は、どのように都市の形状やスケールを決定しようとしたのかを物語るイメージ資料であるため、都市図選定基準に「都市計画のプロセスを示すイメージ資料」という項目を加えた。

今後の研究の推進方策

今後は、インディアス古文書館の地図・都市図部門を中心として、(1)都市空間や都市そのものがどのように描画されているか、(2)どのような都市施設がどのように配置されているか、(3)道路や街区の構成パターンがどのように計画・表現されているか、(4)都市はどのような縮尺で表現されているか、(5)どのような地理的条件や都市の立地条件が表現されているか、といった特性に加えて、都市の作図をどのように進めたか、という項目を追加し、「都市計画行為」と認識されたその作業内容について分析を進める。
インディアス古文書館においては、メキシコ・セクション、ブエノスアイレス・セクション以外においても、イメージ資料の収集、分析、データ化作業を進める。
スペイン植民地における数多くのニュータウン建設の計画作業を示すイメージ資料の作図作業を追いながら、都市図を構成する視覚的要素の共通性や、都市計画的行為と見なせる要素の共通性を検討し、「都市計画」の役割がどのように認識されたのか、何に注意を払い、何を表現する行為だと捉えられていたのかを考察する。またイメージ資料にとどまらず、法規範や制度や記録を伝えるテクスト史料も活用する。
主要広場と均質なレイアウトパターンに集約されるスペイン植民地の都市イメージの中に、どのような多様な視点が盛り込まれたのかを検討しながら、近代都市計画との連続性や不連続性についても考察する。

次年度使用額が生じた理由

訪問先機関のスケジュールと校務の都合により渡航回数が本年度は減じたため。

次年度使用額の使用計画

都市図資料収集のためスペインへ出張予定である。旅費ならびに資料整理やデータベース作成作業に要する消耗品に充当予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Perspectives on Town Planning in the 16th Century Spanish Colonies, Focusing on a Town’s Scale and its Spatial Structure2014

    • 著者名/発表者名
      Kashima, Akihiro
    • 雑誌名

      Proceedings of the 16th International Planning History Society

      巻: Volume 1 ページ: 534-545

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] スペイン植民地時代におけるグアテマラ市都市図の作図に関する一考察2014

    • 著者名/発表者名
      加嶋章博
    • 雑誌名

      日本建築学会 学術講演梗概集 2014

      巻: (建築歴史・意匠) ページ: 127-128

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ラテンアメリカ都市史2014

    • 著者名/発表者名
      加嶋章博
    • 学会等名
      都市史学会
    • 発表場所
      京都工芸繊維大学60周年記念館記念ホール
    • 年月日
      2014-12-14
    • 招待講演
  • [学会発表] スペイン植民地時代におけるグアテマラ市都市図の作図に 関する一考察2014

    • 著者名/発表者名
      加嶋章博
    • 学会等名
      2014 年度日本建築学会大会(近畿)
    • 発表場所
      神戸大学国際文化学部
    • 年月日
      2014-09-14
  • [学会発表] Perspectives on Town Planning in the 16th Century Spanish Colonies Focusing on a Town’s Scale and its Spatial Structure2014

    • 著者名/発表者名
      Akihiro Kashima
    • 学会等名
      16th International Planning History Society
    • 発表場所
      Flagler College, St. Augustine, Florida, U.S.A.
    • 年月日
      2014-07-21

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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