研究課題/領域番号 |
25420662
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
篠部 裕 呉工業高等専門学校, 建築学分野, 教授 (10196412)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 空き家 / 適正管理条例 / 解体除却事業 |
研究実績の概要 |
本研究では、人口減少時代の空き家整備のあり方を、「空き家の適正管理条例」と「解体除却事業」という2つの側面から捉え、地方自治体による空き家整備の取り組みについての実態調査を通して、人口減少時代の空き家整備の諸課題を提示することを目的としている。 本年度(平成26年度)は、広島県呉市の呉市危険建物除却促進事業の事業認定者(251件)を対象に実施したアンケート調査結果から危険老朽化した空き家の解体除却事業の実態と今後の諸課題を明らかにした。具体的には、認定者の事業利用の理由、解体除却費用と敷地条件との関係、事業改善に関する諸課題を示した。これらの成果については、日本都市計画学会の学術論文として発表した。 地方自治体の空き家整備については、長野県白馬村と福井県越前町にヒアリング調査を実施し、空き家整備の取り組み実態と今後の課題を把握した。越前町は空き家解体後の跡地をポケットパークとして整備する施策をこれまで実施してきたが、公共空間としての整備は将来的には限度のある整備方法であることを把握することができた。 一方、地域住民の空き家整備に対する意識調査を、呉市の自治会・住民を対象に実施した。具体的には、呉市空き家等の適正管理に関する条例、呉市危険建物除却促進事業、空き家除却後の跡地利用などについてのアンケート調査を実施し、住民の視点から見た空き家整備の施策評価や今後の諸課題を把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空き家所有者の解体除却整備については、呉市を事例に呉市危険建物除却促進事業により空き家を解体した事業認定者に対するアンケート調査を実施し、老朽危険化した空き家をもつ住民が空き家の解体除却に至る背景と理由、解体後の跡地の利用意向、事業の改善要望などを明らかにした。 地方自治体による空き家整備の施策の実態調査については、長野県白馬村と福井県越前町を対象にヒアリング調査を実施し、各自治体の取り組みを情報収集し、各自治体の空き家対策の実施背景、施策による成果と課題を把握した。 地域住民から見た空き家の整備の課題については、呉市住宅課と建築指導課を連携・協力し、空き家整備についての、地元自治会や住民の意識調査を実施し、空き家整備の施策の制度評価や今後の課題を明らかにした。 今後は上記の調査に合わせて実施してきた跡地利用の実態調査の結果を整理し、跡地利用を含めた空き家の整備のあり方を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
空き家の適正管理条例や解体除却事業については、日本各地の地方自治体に対するアンケート調査やヒアリング調査を実施し、その動向を把握・整理した。また、呉市をケーススタディとして、空き家等の適正管理に関する条例、危険建物化した空き家の解体除却事業について、空き家の所有者や周辺住民の意識調査を通して整備課題を把握してきた。 今後は解体除却された空き家の跡地利用を含めて、予防策としての「空き家適正管理条例」、問題解決策としての「空き家解体除却事業」、事後策としての「空き家跡地の活用支援」という一連の空き家整備施策のあり方を検討して、人口減少時代の総合的な空き家整備のあり方を提言する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
自治体ヒアリング調査の実施等が計画よりも少なかったため旅費の支出が予定より少なく、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度の残額については平成27年度の住民アンケート調査の集計や空き家と跡地の実態調査等に使用する予定である。
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