本研究により次の3点が明らかになった。1点目は、大規模地震の被害把握について、内務省・府県・市郡町村という行政組織によって被害を網羅的に把握するシステムが明治熊本地震で確立されていたが、それは、水害の被害把握を援用したものであった。また、濃尾地震以降の地震災害では、建築の専門家が現地に赴き、専門家の視点から被災実態を調査していた。2点目は、それら専門家の調査に基づいて、建物耐震化の具体的提案がなされたことである。3点目は、特に木造建物耐震化の提案は、徐々に定着し、今日まで継続性のあるものであった。
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