本研究は、歴史的都市・町並みの中でも基礎情報の蓄積が進んだ伝統的建造物群保存地区制度を対象に、「ランドスケープ」概念を導入して地区の読解方法を検証し、都市分析の新たな方法論を構築することを目的とする。 ランドスケープ概念からの町並みの再読により、①町並みの自己同一性を保つ骨格としての地形・地質から町並みの持続性をとらえる視点、②変化する町並みに一定の法則を見いだすことにより、各時代の要素が共存する町並みに価値を見いだす重層性、③スケールの異なるもの同士の関係性を見いだすことにより町並みを構成する諸要素の間に一定の関係があることを示す一体性、といった、概念が抽出された。
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