ブータン高地では崖寺が各地に造営されており、本堂ラカンから離れた崖にの瞑想洞穴を営む。17世紀の国家形成以前、僧院に本堂は存在せず、ただ瞑想洞穴だけがあって、僧侶たちは長期間の瞑想修行に没頭していた。その伝統は今も受け継がれている。こうした瞑想洞窟の実態を理解するため計15ヶ寺で調査した。ソンツェンガンポ王による7世紀の吐蕃建国時に創建したと伝承される中央ブータンのジャンバラカンでは、本堂内陣中央柱から放射性炭素年代測定サンプルの採取に成功した。その成果は1632-1666 cal AD (信頼限界74.4%)である。吐蕃の年代ではなく、ドゥック派による国家形成期を示した点、大変興味深い。
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