研究課題/領域番号 |
25420692
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安田 和弘 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80253491)
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研究分担者 |
椎山 謙一 純真学園大学, 保健医療学部, 准教授 (30243900)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 蛍石型酸化物 / 照射欠陥 / イオントラック / 選択的はじき出し損傷 / 核燃料 / 核変換処理材料 |
研究概要 |
本研究は、次世代軽水炉燃料や長寿命放射線核種の核変換処理材料として期待される蛍石型酸化物の放射線照射に伴う照射欠陥集合体の形成・成長過程、ならびに蓄積過程を先進電子顕微鏡を用いた「その場」観察・分析法により明らかにすることを目的としている。本年度は、電子ならびにイオン照射下で形成される照射誘起欠陥集合体の原子構造、ならびに形成・成長過程の解析、電子照射下「その場」カソード・ルミネッセンス分光法による酸素空孔蓄積過程について研究を進め、以下に記す成果を得た。 (1)高速重イオン照射により形成されるセリア中のイオントラックを透過電子顕微鏡法および走査透過電子顕微鏡法により観察し、その原子構造に関する知見を得た。イオントラック内部では酸素イオン副格子の構造が優先的に乱れていること、および原子密度が低下していることを明らかにした。 (2)イオントラックの重畳により転位組織が発達した。高速重イオン照射に伴う高密度電子励起損傷が10000回程度以上重畳する高照射量では、高密度転位の蓄積により微細な結晶粒が形成されることを示した。このような微細構造発達は、イオントラック形成に伴う格子間原子の形成、蓄積に起因すると考察した。 (3)電子照射により選択的に形成される酸素イオン点欠陥の挙動を電子照射下「その場」観察により調べた。転位ループ成長挙動の電子エネルギー依存性の解析から、転位ループ成長には電子照射による電子励起効果が影響を与えていると考察した。 (4)超高圧電子顕微鏡中にて電子照射しながらカソードルミネッセンスを計測する手法を確立し、アルミナ中のF+センターの蓄積過程に関する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に実施した研究を継続して遂行する。特に、イオントラックの微細構造の電子的阻止能依存性および電子照射下「その場」カソード・ルミネッセンス分光法による酸素空孔蓄積過程に関して研究を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の予定使用額からの減少は、平成25年度に研究討議を行うために招へい予定であった外国人研究者の招へいが平成26年度始めに変更になったためによる旅費の減額と、消耗品費が当初の計画より減少したことによる。平成26年度は、この余剰金額を使用する計画を立てたため、次年度使用額が生じた。 平成26年度は、25年度に予定していた外国人研究者の招へいを行うとともに、消耗品の購入を行う計画である。
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