研究課題/領域番号 |
25420701
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山根 久典 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20191364)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 窒化物 / ジントル化合物 / X線結晶構造解析 / 単結晶 / ナトリウムフラックス |
研究実績の概要 |
昨年度は,Ba-Ga-Si-N系についてアルカリ土類金属を含む新規多元系窒化物を探索したところ,既報のBa-Ga-Nの3元系窒化物とともに,Ba4GaN3Oの新規酸窒化物の単結晶が合成され,これらの結晶構造を明らかにした.本年度はGaと同じ3価の酸化数となるYやLaの元素との組み合わせで,ナトリウムフラックス法により新規多元系窒化物の合成を試みた.その結果,LaNやYNなどの2元系窒化物が生成し,多元系窒化物は得られなかった.この原因として,反応初期にLaやYの元素が窒素と反応して安定な2元系窒化物が生成し,反応系から分離されてしまう可能性が考えられた.そこで,予めBa-La-Siの合金をナトリウムフラックス中で作製し,これを原料とすることを目的として実験を行った.その結果,Ba-La-Si系で2つの新規金属間化合物(ジントル相)が合成されたため,それらの単結晶を作製し,X線回折法により結晶構造を明らかにした.また,この実験の過程で,ルツボに用いたBNがLaと反応して窒素が反応容器内に供給されるとともに,Ba-Si-B-Nの4元系新規化合物が生成した.この化合物についても単結晶を作製し,X線結晶構造解析を行った.その結果,窒化ホウ素基とともにSi-Siの化学結合が存在が示された.さらに,La-Si-Nの3元系化合物で,これまで結晶構造の詳細が明らかにされていなかったLa3Si6N11について,単結晶X線結晶構造解析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初,計画していた合成方法では,期待していた反応が起こらなかったが,Ba-La-Siの系で2つの新規化合物と,窒化ホウ素基を含む新たなBaを含む多元系化合物が発見されるなど,予想外の成果が得られている.結晶構造解析の結果,これらの新規化合物中には,Si-Siの化学結合が存在し,それらの形式電荷と結合距離の関係が明らかになりつつある.
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今後の研究の推進方策 |
Ba-La-Si系で合成された2つの新規金属間化合物を原料とした窒化反応により,新規多元系窒化物の合成を試みるとともに,本年度の研究で結晶構造が明らかにされた新規化合物に関連した化合物の合成を,Ba以外のアルカリ土類金属を用いて試みる.
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