研究実績の概要 |
In等の稀少金属を用いない透明導電体や高効率電子放出材料の開発を目指して、アルミン酸カルシウム(Ca12Al14O33;以下、C12A7 と略す)中に遷移金属元素や希土類金属元素をドープしたC12A7高品質バルク単結晶を育成し、その育成結晶を用いて熱処理により高 伝導率のエレクトライド結晶を合成する条件を明らかにするとともに、元素ドーピング効果を詳細に調べることでITOに匹敵する高導電体発見の手がかりを掴むことを目的としている。また、C12A7エレクトライド単結晶を直接に育成する方法についても検討して、高品質C12A7エレクトライド単結晶の直接合成を行っている。 平成26年度は、1.TSFZ法による銅置換 C12A7単結晶の育成、2.希土類元素を添加したC12A7単結晶の育成と固溶領域の検討、3. C12A7エレクトライド単結晶の直接育成を実施した。銅置換C12A7単結晶の育成において、Cu濃度の分布が結晶成長界面の形状に依存することが明らかになり、加熱ミラーを傾斜することで改善できることがわかった。希土類元素として Y, Nd, Eu, Gd, Hoを添加したC12A7単結晶の育成では、育成条件を最適化することで添加濃度0.1at%において気泡や異相を含まない単結晶を得ることができた。C12A7エレクトライド単結晶の直接育成はカーボンルツボを用いて垂直ブリッジマン法により行った。C12A7化学量論組成より3.0~4.0 mol%CaO過剰な原料を用いて結晶育成を行ったところ、3.4 mol%CaO過剰組成においてCaAl2O4などの異相がほとんど析出していない結晶を得ることができた。その育成結晶は黒色不透明であったが、電気伝導率が7.8E-8 S/cmと非常に小さく、これは粒界の影響によるものと考えられる。
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