研究課題/領域番号 |
25420721
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人名古屋産業科学研究所 |
研究代表者 |
大里 斉 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (20024333)
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研究分担者 |
籠宮 功 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40318811)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ミリ波誘電体 / 高品質係数(高Q) / 低誘電率 / LTCC(低温焼成セラミックス) / 結晶化ガラス / インディアライト/コーディエライト / 誘電体基板 |
研究概要 |
初年度は、ミリ波通信用高Q(高品質係数Qは、誘電損失tendの逆数)かつ低誘電率特性を持つLTCC(低温同時焼成)用原料微粉末の合成を目的とした。材料は、コーディエライト(Mg2Al4Si5O18)の多形であるインディアライトである。インディアライトに注目したのは、Niのドープにより、コーディエライトがインディアライトに変わることにより、品質係数が2倍以上に向上したことを見いだしたからである。インディアライトは、ガラスからコーディエライトに結晶化する過程で析出する中間生成物(準安定物質)であるので、ガラスからの結晶化でインディアライトを合成することを思い立った。コーディエライトとインディアライトの結晶構造の違いは、Al/Siの酸素四面体席のオーダリング状態による。コーディエライトは、それがオーダした斜方晶系の結晶構造をとり、インディアライトは、ディスオーダした六方晶系をとる。我々は、これまで品質係数とオーダリング状態との相関を調べて、ディスオーダの方が対称性が高いので特性が良くなる例を示してきた。このコーディエライト/インディアライトのケースもそれに当てはまることを示した。 高純度インディアライト微粉末粉の作製:高純度原料(MgO、Al2O3、SiO2)を用いて、コーディエライト組成に調合し、カ焼してガラス溶融用原料粉末を得た。その粉末を、白金ルツボに投入して1550oCで溶融、1600oCで清澄し、水中に投入してガラスを得た。得たガラスを一軸プレス機を用いて、粗粉砕したものを1000oC、1hでインディアライトに結晶化させた後、遊星ボールミルで微粉砕した。粒度分布はMie方式で測定し、1μm程度の微粉が得られた。今後は、900oC前後で焼成可能となる融剤の探索を行い、テープ成型、積層してLTCCを作製する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コーディエライト組成ガラスを作製し、粉砕後、インディアライトが析出する温度1000oC、1hで焼成、遊星ボールミルで微粉砕(粒子径1μm程度)することによってインディアライト微細粉を得た。昨年度目標の結晶化粉を得ることができたので、概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
LTCCは、900oC~950oCの低温で焼成する必要がある。そこで低温焼成フィラーの探索を行う。従来のガラス質フィラーは、品質係数を落とすので、最終的に結晶質になるフィラーの探索を行う。シート成型、切断、積層後、焼成してLTCCを作製する。
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