遷移金属酸化物の異常熱起電力の原因を明らかにすることを目的として、近年、研究代表者らが見いだした新規化合物Ca1-xNaxCo2O4 (0<= x <= 0.6)の熱電特性と電子構造を詳細に調べた。その結果、Na置換量x ~ 0.6付近の金属相では1次元的なフェルミ面が運動量空間のGamma点からY点方向に存在することが明らかになった。また、ウィルソン比は2 ~ 3の程度であり、NaxCoO2などの層状コバルト酸化物に匹敵するやや強い電子相関が存在することが明らかになった。これらをもとに本系の熱起電力の起源を考察した。
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