近年、構造物の大型化にともない、より強度の高い鋼材の適用化が求められている。構造物を作成するには材料同士の溶接が不可欠であるが、高強度鋼板の溶接では溶接部の靭性確保が課題となる。本研究では溶接金属の清浄度を高めることで高靭性を得る技術の開発に取り組んだ。高清浄の溶接部を得るには極低酸素雰囲気でのアーク放電の安定化と、溶接金属のミクロ組織の微細化が課題であったが、局所的な酸化性ガスの添加技術や溶接電流のパルス化によってアーク現象の安定化が図れること、また、ミクロ組織の微細化は形成される酸化物の組成をある範囲に適正化することで達成可能であることを見出し、高靭化を可能とした。
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