燃料電池の作製コスト削減と電池性能の向上及び長寿命化のため、Niとプロトン伝導性セラミックスから成るNiサーメット材を作製し、作製の諸条件が試料の微細構造と電気伝導特性に及ぼす影響を調べた。併せて、サーメット電極と電解質との接合を試みた。固相反応法を用いてNiO:BCYの質量混合比および焼成温度を系統的に変えてNi-BaCe0.8Y0.2O3-α (Ni-BCY)を作製した後、焼結性及び電気伝導特性について調べた。その結果、以下のことが分かった。 ①Ni-BCYはBCY中に一様分散したNiが観察された。試料の開気孔率に及ぼす混合比および焼成温度の影響は小さい。②Ni-BCYのH2雰囲気中における電気伝導率は5~7×10Scm-2@400°Cであり、これはBCYの電気伝導率10-2Scm-2@400°Cよりも3桁以上高い値である。電気伝導特性はNiと同様に金属的挙動を示した。Ar雰囲気中とH2雰囲気中の導電率を比較すると、導電率の温度依存性は400℃において傾きが変化し、400℃未満では電子伝導が支配的であるが温度の上昇に伴いイオン伝導が発現し、700℃ではイオン伝導が支配的であった。③電解質にCoを添加したNi-BZYCoの開気孔率はの開気孔率は34.47%であった。④NiO-BZYCo/BZYCo接合体をスプレーコート、ディップコートおよびスクリーン印刷法を用いて、電解質基板に成膜し、1200℃の焼成によってNiO-BZYCo/BZYCo接合体を作製した。コート法で作製した接合体試料はBZYCo基板とNiO-BZYCo層の間で良好な接合性は得られなかったが、スクリーンプリント法を用いた場合には、NiO-BZYCo(混合質量比NiO:BZYCo=5:5)は接合できることを確認した
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