研究課題/領域番号 |
25420740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐世保工業高等専門学校 |
研究代表者 |
古川 信之 佐世保工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (00413873)
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研究分担者 |
城野 祐生 佐世保工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80353233)
竹市 力 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90126938)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ポリマーアロイ / 複合材料 / ポリヒドロキシエーテル / ポリイミド / 芳香族 / 耐熱性 / 防湿性 / 相溶性 |
研究概要 |
ポリ(ビニルアルコール)(PVA)に代表される側鎖にヒドロキシル基を有するポリマーは、偏光膜、ガスバリア膜の基本材料である。しかし、これらは水溶性であるため、一般的なプラスチックであるポリエチレン(PE)との共重合により耐水性を向上させたエチレン・ビニルアルコール樹脂(EVOH)が知られているが、耐熱性において不十分なため、電子電気部品工程においての用途では、大きな制約があることが明らかとなっている。 本研究では、主鎖中にアミド構造を有する芳香族系ポリヒドロキシエーテル類(以下PHE)を合成し、単独で比較的高い耐熱性(Tg>100℃)を有し、防湿性も良好であることを確認した。 一方、芳香族ポリイミド類は、電子回路基板や半導体組み立て工程において様々な用途で用いられ、これらの中で、熱可塑性ポリイミド(以下PI)は耐熱接着材料や耐熱保護膜材料として有用であることが知られている。また、これらのポリイミドは有機溶剤に可溶で、芳香族系ポリヒドロキシエーテル類との極性有機溶液中でのアロイ化が容易となる。ポリイミド類との複合材料は、耐熱性、難燃性、防湿性に優れた新規な耐熱性ポリマーアロイとなると期待できる。本研究で、これらの複合材料は、混合比により耐熱性、透湿性が変化し、ポリ(ヒドロキシエーテル)の主鎖中にアミド官能基を導入した場合、ポリイミドとの相溶性が変化し(部分相溶系)、ポリイミドの防湿性を向上させた材料となる可能性も見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒドロキシル基を有するポリマーとして、分子主鎖中にアミド結合を有する芳香族系ポリ(ヒドロキシエーテル)類(PHE)を合成し、防湿性、耐熱性(Tg, Td)に優れた材料となることを確認した。 また、上記ポリマーと熱可塑性芳香族ポリイミド(PI)のアロイ化により新規な耐熱性ポリマーアロイを開発した。PHE:PI=9:1のポリマーアロイにおいては、耐熱性(Tg)は、大きな低下を抑制し、透湿度を大きく低下させる材料となることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
1.新規なヒドロキシル基を有するポリマーとして、分子内にイミド構造を有する、新規芳香族系ポリ(ヒドロキシエーテル)類を創出し、その構造と特性の相関を解明する。 2.上記ポリマーと耐熱高分子材料(熱可塑性芳香族ポリイミド、ポリベンゾオキサジン)のアロイ化により新規な耐熱性ポリマーアロイを提供し、その相構造、組成比等と特性変化の相関関係を解明し、耐熱性防湿膜への応用の可能性を把握する。 3.環状カーボネートを原料としたポリウレタン系のヒドロキシ基含有耐熱材料を開発し、その構造と特性相関を解明する。また、PIとのアロイ化技術を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.前年度に予定していた合成反応機器類の購入を未実施のため。 2.前年度に予定していた原料費の購入を未実施分が発生したため。 1.研究計画にて予定している、新規PHE原料、熱可塑性PI原料等の購入を実施する。 2.高分子用重合装置および付帯設備等の購入を行う。
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