研究課題/領域番号 |
25420743
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
菱田 俊一 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 特別研究員 (40354419)
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研究分担者 |
坂口 勲 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (20343866)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イオンビーム誘起結晶成長 / イオン照射 / チタニア / 単結晶 / 組成調整 / 表面平滑性 / 格子定数 |
研究実績の概要 |
エピタキシャル薄膜成長における、堆積する薄膜と基板結晶間の格子ミスマッチを軽減するために、エピタキシャル成長用基板結晶の格子定数をイオンビーム誘起結晶成長法を応用することにより制御することを目的として、汎用的なチタニア基板結晶を対象として、熱平衡組成を超えて組成調整・格子定数調整した基板を作製し、その基板がエピタキシャル成長で有効に機能すること実証する。本年度は主に高濃度イオン注入した固体中での各元素の分布の予測について検討した。 イオン注入により固体に導入された原子の分布を予測することは、ドーピングによる格子定数の変化を予測するために重要である。 一般に、イオン注入された原子の固体内分布を計算するために、TRIMコードが用いられるが、このコードでは注入イオン間の相互作用を計算に取り込んでいないため、高濃度注入における原子分布の計算には対応していない。そこで新たに、注入イオンを局所部分密度に取り込むコードを導入し、その計算結果と実験結果を比較した。実験結果として、TiO2 (110)に室温及び823Kで50keVのSn+イオンを1~2×1021ions/m2イオン注入した場合の原子濃度をRBS及びRAPMコードにより解析した値を用いた。 結果として、反跳原子は全て格子位置に収納されると仮定することが最も確からしいと考えられた。この場合は、注入イオンが新たな格子位置を形成することが導かれるため、この効果をシミュレーションに取り込む必要が指摘された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
格子定数制御された基板の作製法を確立するためには、イオン注入量と格子定数の関係を明らかにすることが必要である。一方、イオン注入により作製するエピタキシャル成長用基板結晶の特徴から、その最表面の格子定数を通常の実験方法、例えばX線回折等により測定することは困難と考えられる。そこで最表面の元素分布を知ることがその情報を得るために効果的と考え、固体中の注入イオンの分布をシミュレーションにより予測しようと試みた。しかし本年度の成果からは、用いたコードを改良する必要があることが指摘された。そのため、高濃度イオン注入によるイオンビーム誘起結晶成長機構を解明するには至らなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度については、組成調整・格子定数調整したチタニア単結晶基板を作製し、その基板が二酸化スズ薄膜のエピタキシャル成長で有効に機能すること実証する。また、高濃度イオン注入によるイオンビーム誘起結晶成長機構についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に必要と思われた物品が、当該年度内に納品可能ではなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度使用物品に合算して、必要物品の購入に充当する。
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