良質なエピタキシャル薄膜の成長のために、高い表面平滑性と制御された化学組成、すなわち制御された格子定数を持つ結晶表面を調製することを目的として、イオンビーム誘起結晶成長を用い、基板結晶の表面改質を行った。二酸化チタン-スズ系を対象とし、TiO2(110)面へ50keVのSn+を基板温度550℃でイオン注入するイオンビーム誘起結晶成長を行うことにより、原子ステップ-テラス構造の平坦な表面構造を持ち、表面組成がSn0.126Ti0.874O2の基板結晶を得ることに成功した。また、注入イオン量の約1/10が表面組成の制御に寄与し、残りはイオンの平均侵入深さより深い領域に異常拡散する現象を発見した。
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