研究課題/領域番号 |
25420745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
津田 浩 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究グループ長 (30262108)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超音波 / 光ファイバセンサ / 非破壊検査 |
研究概要 |
初年度はファイバ・リング・レーザを利用した超音波検出システムの基礎的特性を評価するため、1)レーザ波長の安定性の評価、2)共振器長さが応答信号に及ぼす影響を評価した。 1)レーザ波長の安定性の評価にはFSR=1GHzのスーパーキャビティと呼ばれる走査型ファブリ・ペロー干渉計にファイバ・リング・レーザ出力を入射し、多モード発振の有無を調査した。その結果、多モード発振が生じ易いと考えられた反射帯域の広いグレーティング長1mmのFBGを用いても振動を与えない場合は安定して単一モード発振していることが確認された。また超音波応答時には発振周波数が超音波振動により変化していたが、単一モード発振していることが確認された。以上からファイバ・リング・レーザを利用したシステムでは超音波検出に適した安定した単一モード発振が生じていることが確認された。 2)共振器長さが応答信号に及ぼす影響を評価するため、a)FBGとファイバ・リング・レーザとの間の長さを伸ばす、b)ファイバ・リング・レーザのリング長を伸ばす、の二種類の共振器長さを変えたときの超音波応答検出を行った。その結果、a)のFBGとファイバ・リング・レーザとの間の長さを伸ばすときに応答感度が大きく低下することが認められた。b)のリング長さを変えても大きな超音波検出感度低下は生じなかった。このことからFBGとファイバ・リング・レーザを繋ぐ、FBG-光カップラ間距離は短くすることが超音波検出においては重要であることが分かった。これはFBG-光カップラ間はFBGで変調を受けた光が往復伝搬することから、共振器長さに与える影響が大きくなることが要因と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画として1)レーザ波長の安定性評価、2)共振器長さが応答信号に及ぼす影響の評価を掲げたが、上記の研究課題を一年間でクリアすることができたことから概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、偏光状態がファイバ・リング・レーザの発振状態に及ぼす影響、多重レーザ発振の可能性について研究を行っていくが、今年度行った予備実験では多重レーザ発振については極めて不安定で実用化が難しいと考えている。しかしながらファイバ・リング・レーザの特長や他センサとの利点を明らかにする方向で研究を進めて行くことを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度購入予定であったファブリ・ペロー干渉計を所内で借用することができたため、その購入費用が不要になり予算が余った。 昨年度、余った予算で計測用データ収録器を購入する予定である。
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