本研究の目的は機械的振動から超音波域まで振動検出可能なFBGをセンサとするファイバリングレーザシステムの振動特性を解明し、同システムを用いた新しい構造物健全性評価技術を開発することである。研究開始から2年間でファイバリングレーザシステムの基本特性と応用研究への適用を実施した。最終年度はファイバリングレーザ振動検出システムと並列して構造物健全性評価システムに用いられると考えられるMEMS3軸加速度センサによる振動検出能の評価試験を行った。 基礎的試験として片持ち梁にFBGセンサと加速度センサを取り付けて、両者の出力を比較した。加速度センサはFBGセンサと一致する軸方向振動を出力するほか、梁のねじりや曲げなど光ファイバセンサが提供できない情報を出力した。 応用試験は北九州市の若戸大橋のスパン中央に3軸加速度センサを取り付けて、1時間ほどデータ収集を行い、橋を管理する北九州市道路公社から提供された交通量データとの比較を行った。FBGセンサ振動システムのデータ収集を行ったが、バッテリーの故障でFBGセンサデータの収録が出来ず、残念ながら加速度センサのみの評価に留まった。 橋梁中央部に取り付けた3軸加速度センサから橋梁中央における長軸方向傾き、ねじり、および上下振動の加速度を評価することができる。100Hzのサンプリング速度でデータを収録して、監視カメラで観察された交通量との結果を比較した。3つの加速度データの出力は橋梁を通過するトラックから予想される挙動と良い一致を示した。また過去に計測された若戸大橋の振動周波数と今回の加速度センサから計測された振動周波数は非常に近い値を示した。 このようにMEMS式加速度センサとFBGセンサの振動測定の比較を行い、両者が良い一致を示すことを実証し、加速度センサを用いた構造物健全性評価の有効性を実証した。
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