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2013 年度 実施状況報告書

ステンレス溶射皮膜におけるS相の耐腐食性の改善と硬化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25420747
研究種目

基盤研究(C)

研究機関地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所

研究代表者

足立 振一郎  地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50359410)

研究分担者 上田 順弘  地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (90359365)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードコールドスプレー / 表面処理 / 低温プラズマ窒化 / 低温プラズマ浸炭 / 耐摩耗 / 耐腐食
研究概要

コールドスプレー溶射装置を用いてSUS316L溶射皮膜の作製を試みた.スプレーガスとして窒素ガスを用い,ガス温度(500℃から800℃)およびガス圧力(2.5MPaから3.5MPa)を変化させて,皮膜の断面組織を観察した.その結果,ガス温度およびガス圧力を高くする方が皮膜内に気孔の少ない部位が多く認められたが,ガス温度が高い場合は熱応力に起因すると考えられる縦方向のクラックの発生が確認された.また,溶射に使用するSUS316L粉末の粒径に関しても検討したが,-45/+10μmの粒径の粉末を用いた方が-53/+20μmおよび-20μmの粒径より緻密な皮膜を形成できた.しかし,何れの溶射条件においても溶射粒子の加工硬化に起因して,皮膜内には多くの気孔が存在しており,何らかの対処が必要であった.そこで,半導体レーザをSUS316L溶射皮膜に照射して再溶融したところ,気孔およびクラックが消失して緻密な組織を得ることが出来た.
これらSUS316L溶射皮膜に対して673 Kおよび723 Kの温度でプラズマ窒化処理をしたところ、拡張オーステナイトS相の形成が認められた.S相における窒素の深さ方向分布はSUS316Lのバルク材に形成したS相と同じような分布をしていたが,S相の膜厚はバルク材に形成した場合よりコールドスプレー皮膜の方が薄かった.S相の形成により,SUS316L溶射皮膜のビッカース硬さは約1200HVとなり,摩擦摩耗試験により耐摩耗性性の向上が認められた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コールドスプレーによるSUS316L溶射皮膜の溶射条件の検討を行い,プラズマ溶射皮膜で課題となっていた酸化物の生成など溶射材料の変質を抑制して,半導体レーザによる後熱処理を加えることで皮膜の緻密化を達成した.そして,低温プラズマ窒化処理により拡張オーステナイト(S相)を形成することで,SUS316L溶射皮膜の耐摩耗性を改善することが出来た.また,低温プラズマ浸炭処理によるS相の形成にも成功するなど,おおむね順調に研究は進展している.

今後の研究の推進方策

低温プラズマ浸炭処理によるSUS316L溶射皮膜の耐摩耗性について検討を行い,窒化処理の結果と合せて検討することで,硬化機構の解明を試みる.また,電気化学測定により耐腐食性の評価を行う.低温プラズマ処理により,耐摩耗性と耐腐食性に優れたSUS316L溶射皮膜の開発を目指す.

次年度の研究費の使用計画

コールドスプレーによりSUS316L溶射皮膜の作製を3回行う予定であったが,当初の計画にはなかったレーザ溶融処理を追加したことで,低温プラズマ処理に必要とする緻密なSUS316L溶射皮膜が2回の作製実験で得られた.そこで,3回目の作製実験を延期することにしたため,本年度の経費に剰余金が生じた.
残額は,本年度のコールドスプレーによるSUS316L溶射皮膜の作製実験の費用に充てる,また,順調に研究成果が出ており,追加の学会参加費および論文投稿費などの経費としても使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Low-temperature Plasma Nitriding of Cold Sprayed AISI 316L Coating by Laser Remelting2014

    • 著者名/発表者名
      Shinichiro Adachi, Nobuhiro Ueda
    • 学会等名
      8th International Conference on Reactive Plasmas 31st Symposium on Plasma Processing
    • 発表場所
      Fukuoka
    • 年月日
      20140203-20140207

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公開日: 2015-05-28  

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