フェライト系鋼について、表面酸化膜が水素放出の大きな障害にならないことが分かった。一方、Al-9%Mg合金で、引張変形に伴って、粒内のすべり帯とともに一部の粒界上から水素の放出が観察された。水素が放出される粒界では、それに隣接する粒内のすべりによる水素の移動、粒内すべり変形による段差の形成、酸化被膜の破壊を経て、水素が放出されると考えられた。Al-Zn-Mg合金でも上記と同様の結果を得たが、Al-Mg合金と異なり、PFZが存在することで、粒界近傍に変形が集中するため、より多くの粒界においても水素が放出された。以上により水素侵入・放出における緻密な酸化皮膜の役割が明らかになった。
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