研究課題/領域番号 |
25420761
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
葛巻 徹 東海大学, 工学部, 准教授 (50396909)
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研究分担者 |
鳥越 甲順 東海大学, 医学部, 教授 (50126603)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生医療 / アキレス腱 / コラーゲン線維 / 配向組織 / カーボンナノチューブ / 紡績糸 / 熱処理 |
研究実績の概要 |
本研究は、断裂したマウスのアキレス腱から分泌された生体組織(tendon gel)への引張応力印加により、コラーゲン線維が再生・配向する現象に着目し、応力場等の印加が生体分子構造に与える影響を定量的に評価することを目的としている。本年度はtendon gel形成後 3日目、5日目、10日目に採取した組織を試料とし、応力印加前後の生体組織変化の初期過程を原子間力顕微鏡(AFM)と顕微赤外分光法(FT-IR)で解析した。 生体試料の作製は成熟マウスの下腿三頭筋・内側頭のアキレス腱を切断し、近位端を2枚のフッ素樹脂フィルムに挟みそのまま生体内に温存するフィルムモデル法で行った。得られた試料に対し独自開発したナノ材料試験システムで微少引張応力を印加した各試料に対し、AFMによる表面微細組織観察とFT-IR解析を行った。 3日目、5日目、10日目の試料とも応力印加後はコラーゲンの線維化組織が観察され、張力印加後にアルドール縮合反応が起きていることを確認した。特に10日目の試料では応力印加後にコラーゲン線維が引張方向に配向し太く成長した組織が観察された。一方、3日目、5日目では縮合反応が弱くコラーゲン線維は細く、また、生成量も10日目の試料と比較して少ない傾向にあった。 一方、新素材応用として取り組んでいた熱CVD法によるカーボンナノチューブの合成では様々な触媒条件の検討により紡績糸として取り出すことに成功した。これを超高真空下で熱処理するため装置開発も並行して行った。現時点では排気装置と配管を改良し10-6Pa台の真空度を形成することを可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、アキレス腱の再生過程の解明に大きく前進し、腱再生の条件をまとめられるところまで到達したと考える。また、新素材応用ではカーボンナノチューブ紡績糸の形成とその熱処理のための準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
最終年ととなる27年度では本研究の成果を取りまとめてアキレス腱の再生条件の最適化に取り組み成果を論文としてまとめる。また、新素材応用としてカーボンナノチューブ紡績糸の熱処理による強靭化を試みその成果を論文としてまとめる。
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