ねじり戻し変形を利用したマグネシウム素材の調製による新しいねじ転造プロセスを開発することを目的として、平成27年度は種々の温度や回転速度でねじり戻し加工した後、室温にて転造したAZ91Dマグネシウム合金ねじの結晶構造や機械的性質を調査した。最も大きなねじり回転速度25rpmで加工したねじり戻し加工材の結晶構造は、動的再結晶による微細化が顕著となる試料の外周部において、より広範囲で強い結晶方位のランダム化が確認された。なお、結晶ランダム化に対するねじり戻し温度(523,548,573,623,678K)やねじり回転角度(180,360,720,1080°)の依存度は、ねじり回転速度のそれよりも小さい。室温転造したねじは表面付近において高い硬度を示す不均質な分布となるが、423K,最長345ksの時効処理を施したねじは、ねじ山の先端から中心部にかけて均一で高い硬度分布が得られることがわかった。これまでの合計3ヶ年の研究期間を通じて、マグネシウムの室温ねじ転造を実現するランダムで微細なミクロ組織を作り込むねじり戻し調製条件を確立すると共に、それによって製造したねじはJISの寸法規格を満足し、欠陥のない健全品であることを確認した。
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