本研究では、フェムト秒レーザーで形成した微細構造(細胞の足場)による細胞定着性の向上とともに細胞伸展(細胞の成長する方向)の制御というチタン材への新機能付加技術開発を推進する。具体的には、生体親和性を有する酸化チタンをエアロゾルビーム成膜法によりチタン材表面にコーティングし、その『酸化チタン膜』にフェムト秒レーザーを集光照射、偏光を制御することによって周期的微細構造の溝の方向を制御し、細胞の伸展を制御するための基礎技術開発を行うことを本研究の目的とした。平成25年度に設計製作したレーザー照射系及びレーザー照射時間・XYθステージ駆動システムを用いて酸化チタン膜に対し照射実験を行った。実際に使用されている生体材料を模擬した形を有する材料にエアロゾルビームを用いて酸化チタン膜を形成し、平26年度に行った点集光および偏光制御による酸化チタン膜への微細構造形成実験と細胞適合試験と同様なフェムト秒レーザー照射実験を行った。局所的に溝の方向が異なる微細構造を有する試料に対し、細胞適合試験を行い、細胞伸展に関する新機能について評価した。立体構造体表面上での細胞伸展を想定し、局所的に溝の方向を変化(局率半径を小さく)させた時の細胞伸展追従性についても評価した。
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