研究課題/領域番号 |
25420786
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安斎 浩一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40232087)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 半凝固金属スラリー / 数値解析法 / ダルシー則 / AC4C |
研究概要 |
Al-Si-Mg系の実用合金であるAC4Cについて、半凝固スラリー特性を考慮した流動解析モデルについて検討した。まず、基本となる温度、固相率、粘性の間に成立するレオロジー特性について、Carman-Kozenyモデルを用いたダルシー則により考慮する際の数値解析上の問題点について検討した。すなわち、流れ場の解析において時間積分は陽的に行うのが一般的であるが、ダルシー項の存在により高粘性になるに従い時間増分が小さくなるため、ダルシー項の寄与を陰的に考慮するように工夫して、場所により粘性のオーダーが大きく違う流れ場においても、安定に高速に数値解析できるアルゴリズムとする数値積分する手法を検討した。 次に、これらの検討結果を具体的な数値解析プログラムに実装するために、既存の独自開発プログラムである有限体積法を用いた湯流れ・凝固解析プログラムStefan2Dに実装した。計算に必要な熱物性値はThermoCalcを利用して設定した。 自作したコードの有用性を評価するために、CupCast法により、AC4C合金を用いた金属スラリーを作成し、鋳込み温度、金属容器の直径、肉厚を変化させたときの流動特性について実験的に評価した。実験で作成したスラリー条件に対応した数値シミュレーションをStefan2Dにより実行したところ、数値不安定が発生すること無く、導入したワークステーションにより一晩程度の解析時間で流動解析を実行することができることを確認した。今回は安定性を重視したアルゴリズムとしたが、原理的に時間増分の最適化により、より高速に数値解析できる可能性あるので、検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度の目標は、AC4C合金を対象に、CupCast法で作成した金属スラリーの流動変形モデルを探索する。新規にワークステーションを導入し、計算モデル評価の高速化を図る、と設定した。これらの当初目標に対し、具体的な計算モデルの検討と具体的な計算プログラムとしての実装が完了している。また、AC4C合金を用いた実験結果と計算結果を比較検討を行い、数値的に安定に流動解析が実行できることを確認できたことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
計算全体の高速化のためのアルゴリズム探索を実施する。また、三次元形状が扱える湯流れ解析コードStefan3Dに実装し、より実用的な問題が解析できるようにする。 また、H26年度の計画である東北大式垂直吸引流動性試験法を用いた実験を行い、CupCast法によって作成された金属スラリーの流動特性について、定量的に評価できるようにする。
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