研究概要 |
本研究の目的は、酸化スケールが存在する鋼系において、「酸化スケール」と「鋼」の熱伝導度を同一装置を用いて測定する手法を確立することである熱伝導度測定のために、本研究では従来より用いてきたホットストリップ法を改良し、従来よりも短時間で測定できる装置の開発と解析方法の改良を行う。 平成25年度は、ホットストリップ法により酸化物厚膜/金属系熱伝導度測定法の確立を行うことを目的とした。仮にスケールの熱拡散率を1 × 10-6 m2s-1 、スケール厚さを100 mとすると、スケール上のヒーターから供給した熱が基板(鋼)に到達するのは1 msと見積もられる。したがって、1 ms間の温度上昇をとらえるシステムが必要となる。申請者がこれまで用いてきた温度(電圧)計測装置は、25 msに1点(40 S/s)しか測定ができない。このため、オシロスコープを用いて、電圧計測するシステムを構築した。試料は石英ガラスとして、板状の石英試料2枚でストリップヒーターを挟み込んで、電流を供給し、その抵抗変化を4端子法により測定した。測定データの解析は、CarslowとJaeger1)が報告しているホットストリップ法の原理式に基づいて行った。 データの測定間隔を順に上げ、5 kS/sの間隔で測定した結果を時に、熱拡散率として1.2 ×10-6 m2/s、熱伝導率として1.0 W/mKと、文献値に近い値が得られた。文献値との差は、ヒーターの幅の見積もりの不確かさに由来するものと考えられる。また、同じ測定装置を用いて、従来のホットストリップ法による計測(長時間側での測定データの解析)を行えることも確認した。 1) H.S. Carslow, J.C. Jaeger: Conduction of Heat in Solids, Oxford Univ. Press (1986)
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