研究課題/領域番号 |
25420792
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
助永 壮平 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (20432859)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 高温融体物性 / 鉄シリケートスラグ / 粘度 / レドックス / 過冷却液体 |
研究概要 |
平成25年度は、主に鉄シリケート融体の高温度域(液相線温度以上)での粘度を評価するための外筒(るつぼ)回転法式粘度測定装置の試作を行った。この粘度測定法では、外筒(るつぼ)内で溶融した試料に内筒(スピンドル)を浸漬し、外筒を回転させる。このとき内筒にかかるトルクから試料融体の粘度を求めることができる。装置は、トルク計測部、炉内の温度をコントロールする温度制御部、るつぼの回転を制御する回転制御部からなる。トルク計測には、試料中に浸漬させた内筒(スピンドル)にかかる微小なトルクを検出できる市販のトルクメータ(最小トルク分解能: 0.001mN・m)を採用した。炉内温度のコントロールにはMoSi2発熱体を用い、常用1600℃での測定が可能な使用とした。また、炉体下部では、試料を溶融するるつぼの支持台をアルミナチューブにより速度可変モータと接続している。これにより、ルツボの回転数を10-90rpmの範囲で調整可能である。なお、炉体はシール構造をとっており、ロータリーポンプを利用することにより、真空引き後のガス置換が可能である。また、本研究では、酸化物融体を対象とした粘度測定を行うため、試料融体との反応性の低いPt-20mass%Rh製の外筒(るつぼ)および内筒(スピンドル)を作製した。室温および高温での装置の検定については、平成26年度に行う予定である。 また、低温(ガラス転移温度近傍)での粘度測定に関連して、平成25年8月に共同研究者と打ち合わせの機会を設け、測定組成の決定を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化物融体を対象とした高温度域(液相線温度以上)での粘度測定装置の試作を当初の予定通り完了する事ができた。また、平成25年度に計画していた通り、低温度域(ガラス転移点近傍)での粘度測定について、海外の共同研究者と打ち合わせを行う事ができており、おおむね当初の企画通り、研究が進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究計画は下記の通りである。 ・昨年度、試作した高温度域(液相線温度以上)での粘度測定装置の検定を行う。検定用の試料として、室温では粘度既知のシリコーンオイル、高温度域では高温用粘度標準物質(SRM2)を用いる。 ・CaO-SiO2-FexOおよびNa2O-SiO2-FexO系融体の粘度に及ぼす鉄イオンの酸化状態(Fe2+ or Fe3+)の影響について、調査を行う。 ・低温度域(ガラス転移点近傍)での粘度測定にCaO-SiO2-FexOおよびNa2O-SiO2-FexO系ガラスの作製を行う。
|