研究課題/領域番号 |
25420795
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研究機関 | 鈴鹿工業高等専門学校 |
研究代表者 |
平井 信充 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50294020)
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研究分担者 |
兼松 秀行 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10185952)
生貝 初 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60184389)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオフィルム / 原子間力顕微鏡 / 微生物 / 細菌 / 細胞外重合物質 / EPS / 走査型プローブ顕微鏡 |
研究実績の概要 |
微生物誘起腐食(MIC)が水環境下での構造材について問題となってきている。MICの防止・抑制には原因となるバイオフィルム生成の抑制が必要であり、そのためには浮遊細菌の金属材料上への付着を抑制する必要がある。従来、MICの防止・抑制の指標として、主に材料の「抗菌性」が用いられてきたが、「抗菌性」と「バイオフィルム生成能」が一致しないケースが存在することがわかってきた。その理由の一つには「抗菌性」と「浮遊細菌の付着性」が一致しない場合があるためと考えられる。そこで、各種材料表面への浮遊細菌の付着性やバイオフィルム生成能を原子間力顕微鏡等を用いて評価し、細菌が付着しにくい材料、バイオフィルムが付着しにくい材料についての知見を得るのが本研究の目的である。昨年度はグラッシーカーボン上への緑膿菌の付着性について評価を行い、観察手法の確立に成功した。今年度は、各種プラスチック基板(塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート、6ナイロン、66ナイロン)への緑膿菌の付着性やバイオフィルム生成挙動について原子間力顕微鏡を用いて評価を行った。その結果、以下のことがわかった。1.緑膿菌バイオフィルムの生成試験を行ったところ、塩化ビニル、6ナイロン、66ナイロン上で付着した緑膿菌の観察に成功したが、同じ浸漬条件でもポリプロピレン上では緑膿菌が観察されなかった。また、塩化ビニルについて、浸漬時間の増加につれ付着する緑膿菌の数も増えることが分かった。2.実験室的バイオフィルム加速生成試験機を用いて、空気中の雑菌によるバイオフィルムの生成試験を行ったところ、浸漬時間が増加するとバイオフィルムのラフネスは増加すること、成長したバイオフィルムのラフネスは、フッ素ゴム上が一番大きく、次いで、6ナイロンや66ナイロンであり、その他の基板上のバイオフィルムのラフネスはそれらより小さかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種材料表面への浮遊細菌の付着性やバイオフィルム生成能を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて評価し、細菌が付着しにくい材料、バイオフィルムが付着しにくい材料についての知見を得るのが本研究の目的である。初年度までに、浮遊細菌の付着性やバイオフィルム生成能をAFMを用いて評価する方法について確立し、2年目(今年度)は各種基板を用いて観察を行うことにより、基板種による浮遊細菌の付着性やバイオフィルム生成挙動の違いを観察することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は以下の通りである。 ・基板種による違いが見られる理由について明らかにするために、バイオフィルムの付着仕事について求める。 ・より詳細なバイオフィルム形態観察のため、AFMと同じく、走査型プローブ顕微鏡の一種である走査型イオン電導顕微鏡を用いてのバイオフィルム観察を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年度はバイオフィルムを観察する基板を色々と検討したが、グラッシーカーボンでの観察に成功し、その結果、検討する基板種が予定より少なくて済んだため、次年度使用額が生じた。平成26年度は、材料種によるバイオフィルム付着挙動の違いを詳細に調査するため、当初予定していた以外の基板にも対象を広げ、次年度使用額はこれらの基板の購入費にあてた結果、次年度使用額は昨年に比べて大幅に減少したものの、まだ若干残っている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度と同様、平成27年度も当初予定した以外の基板にも対象を広げ、上記次年度使用額はこれらの基板購入費に主に充てたいと考えている。
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