研究課題/領域番号 |
25420797
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
空閑 良壽 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60183307)
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研究分担者 |
山中 真也 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30596854)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | graphite nanosheet / graphene / ultrasonic irradiation / conductive resin / grinding / intercalation compounds |
研究実績の概要 |
申請者らはこれまでに、2種類のゲスト分子を同時に挿入した黒鉛層間化合物を合成して層間を拡げ、さらにせん断力を加える湿式粉砕法を駆使して、層間剥離を促してグラフェン状の薄片状構造を発現させる方法を開発した。昨年度までに、黒鉛層間化合物の合成条件(ゲスト分子種)、および湿式粉砕時間をパラメータとしてグラフェン状シートを作製した。得られたシートを樹脂に充填して導電性が発現する充填量(パーコレーション閾値)を求めた。閾値は、原料黒鉛の18wt%程度から2~4wt%にまで低下して、少ない充填量で導電性が発現した。本年度は、(1)昨年度に引き続きグラフェン状シートの効率的な生産方法の検討、(2)環境負荷の小さいグラフェン状シートの作製方法と、得られたシートのキャラクタリゼーションを実施した。その結果、 (1)粉砕時の回転数、および界面活性剤の添加量、粉砕後の再分散工程におけるpHを実験的に検討した。作製した樹脂膜はすべて、従前の条件と同等のパーコレーション閾値(2~4 wt%)であった。当初予想していた条件よりもマイルドな粉砕条件で、フィラーに適したグラフェン状シートの作製が可能であり、様々な黒鉛層間化合物、粉砕機で本法を利用できると考えられる。 (2)昨年度までに水を分散媒とした、粉砕法と超音波法を併用する簡便かつ低環境負荷なグラフェン状シート(厚さ5~10 nm、大きさ約2 μm)分散液調製法を開発した。本年度は、超音波の照射時間、粉砕媒体として使用するジルコニアビーズのサイズが、グラフェン状分散液の濃度とサイズに及ぼす影響を検討した。その結果、最大で8.6 mg/mLの分散液を得た。この濃度は、これまでに報告されている濃度(1.2 mg/L)をはるかに超える数値である。また、より小さなサイズの粉砕媒体を用いることで、シート面積の大きなグラフェン状シートを得られる可能性が示された。
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