研究課題/領域番号 |
25420799
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中村 一穂 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30323934)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 圧力損失 / 界面動電現象 / 圧搾 |
研究実績の概要 |
本研究は、界面科学に基づく新たなナノ・マイクロスケール空間の圧力損失モデルの構築と圧力損失を低減する固体表面および溶質の開発を目的とし、昨年度は、ナノマイクロ空間の圧力損失特性および界面動電現象測定装置の開発および測定する圧力損失場と溶質について検討を行い、本年度は、圧力損失場として、毛細管、フィルター(精密ろ過膜の細孔径0.05,0.22μmの膜)に加えて、微粒子(カオリン)、微生物(酵母)のケース層の圧力損失について検討した。また溶質として、エタノール水溶液と高濃度電解質溶液(NaCl水溶液)について検討した。圧力損失および流動電位の測定ができる装置開発では、初年度に開発した測定システムに20MPaまで加圧可能な圧搾システムの組み込みを試みた。高圧濾過圧搾セルの開発では、非圧縮性の粒子のカオリンでは濾過圧搾過程の測定が可能であったが、圧縮性の酵母では、低圧では濾過圧搾過程の測定ができたものの10MPa以上の高圧では濾過圧搾セルからの漏れにより、安定した測定が不可能であった。そこで、セルの形状やシール部分の改良による耐圧性の向上と測定精度向上によるより低圧での測定のアプローチを行い問題が解決できた。測定溶液としてエタノール水溶液およびNaCl水溶液を用いて、細胞内の水の影響について検討した。圧搾後の含水率は、エタノール水溶液では大きな変化は観察されなかったが、NaCl水溶液では低下した。これらの結果より、細胞内に含まれる水が含水率に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。細胞内の含水率が異なる微生物が形成するケーク層の構造を明らかにするため、流動電位の測定を試みたが高濃度電解質における測定が難しく、ケーク構造からの検討が必要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧力損失場として微生物の酵母を用いて測定を行った。測定セル作成に関して困難があったが、解決策が得られた。また、測定液として代表的な有機溶剤(エタノール)と電解質(NaCl水溶液)に関しても検討ができ、それらの特性から圧力損失解明のための新たな視点も明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では、圧力損失場に関して、典型的なキャピラリー、粒子充填層、微生物について検討する予定であり、概ね測定のための装置開発は順調に進んでだ。特に微生物に関しては溶質の影響を受けることが明らかになったため、装置上の工夫とともに測定上の工夫を行う。測定の溶質に関しては、基礎的な物質での測定データが得られたため、より絞り込んだ溶質を用い、浸透圧などの物性値に着目して検討を進める。また、圧力損失場の構造に関して測定と考察を進めていく。
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