研究課題/領域番号 |
25420809
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
前田 光治 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (00264838)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Battery / High Pressure / Crystallization / Electrolyte Solution / Nickel-Hydrogen Battery / Lead-Acid Battery / Litium-Ion Battery |
研究実績の概要 |
前年度までに,鉛蓄電池,ニッケル水素電池,リチウムイオン電池の性能における高圧力の効果を実験的に,また鉛蓄電池においては論理的にも明らかにしてきた. 高圧力下での高速充放電はいずれの電池においても高寿命化を達成できているが,実用的な操作の問題がある.そこで,ここ2年ほど高圧力保管(高圧力下で充放電しないもの)による電池性能への影響を検討してきた. この年度は,市販ニッケル水素電池の再生を目指して,高速充放電したニッケル水素電池に対して10-50barの高圧力処理を行った. その結果,初期状態(新品)のニッケル水素電池ほど,長時間・高圧力ほど,高速充放電の繰り返し回数が増加することが分かった.また,高圧力による保管時間は,5時間以上ではおぼ変化しなくなることもわかった.このような結果は,ニッケル水素電池の劣化要因は充放電繰り返しによる電極材(Ni(OH)2/MH)形態の変性にあると考えれば,ニッケル水素電池の充放電では正極・負極ともに化学反応を起こし,高圧力をかけることにより電池内の正極・負極での活物質そのものの結晶構造をタイトな状態になり,繰り返し充放電による構造の崩れを抑えていると考えられる.または電池の構造上ガス排出弁というものが取り付けられており,過充電などによって化学反応時に水素が発生し,電池内部の圧力が増加した際にその気体を逃がすようになっているが,その水素が排出されてしまうと電池内部の水素の絶対量が減少してしまい,新品同様の正極・負極間での物質のやり取りが不可能になってしまい,効率が落ちると考えられる.高圧力保持を行うことによって,この気体の発生を抑えることができるため,高い効率を維持したまま充放電を行うことができた可能性が考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在市販されているほぼすべての電池に対して高圧力の効果が実験的に明らかにできた.
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今後の研究の推進方策 |
ニッケル水素電池の電極材への高圧力の科学的な影響を明らかにし,高圧力による電池性能の革新的向上を理論付ける.
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度における研究のため,高圧力装置の修正加工や追加部品,また,圧力媒体の変更による消耗品などの経費が見込まれるため.
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次年度使用額の使用計画 |
高圧力装置の修正加工や追加部品,また,圧力媒体の変更による消耗品,さらに電極材の観察用高圧セルの製作費などに使用する.
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