研究課題/領域番号 |
25420811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
西浜 章平 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (00347668)
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研究分担者 |
吉塚 和治 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70191567)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イオン交換 |
研究概要 |
平成25年度は、水酸化テトラメチルアンモニウムの吸着分離材料として、酸化チタンおよびMFI型ゼオライトについて研究を行った。 水酸化テトラメチルアンモニウムの吸着剤として、酸化チタンの調製を行った。酸化チタンは、アルカリ-エタノール溶液中へ四塩化チタンを添加した前駆体溶液を150℃で18時間水熱合成することで調製した。アルカリとしては、水酸化ナトリウムおよび水酸化テトラメチルアンモニウムを用いた。いずれの場合においても、数マイクロメートル程度の球形粒子が得られた。結晶構造は、水酸化ナトリウムを用いた場合にはアナタース型が得られたが、水酸化テトラメチルアンモニウムを用いた場合にはアナタース型とルチル型が混在して得られた。これらを吸着剤として用いた場合、アルカリ領域において水酸化テトラメチルアンモニウムの吸着が可能であった。一方で、吸着量は低く、高い吸着量を有した酸化チタン吸着剤の開発が必要である。 MFI型ゼオライトについては、シリカ/アルミナ比の異なる4種類の市販のMFI型ゼオライトを用いた。MFI型ゼオライトによる水酸化テトラメチルアンモニウムの吸着能は、シリカ/アルミナ比が小さくなるに従って高くなった。 水酸化テトラメチルアンモニウムの吸着量が最も高かったシリカ/アルミナ比が23のMFI型ゼオライトを親水性および疎水性のシランカップリング剤により表面修飾を施し、吸着等温実験を行った。全ての吸着剤において、吸着はラングミュア型で進行した。ラングミュア型の吸着等温式に基づき算出した飽和吸着量は、3種類の吸着剤でほぼ同等であったが、吸着平衡定数は、未修飾のMFI型ゼオライトの場合が極めて高く、シランカップリング剤により修飾した場合には低下した。従って、低濃度の水酸化テトラメチルアンモニウムの処理を想定した場合、未修飾のMFI型ゼオライトが最適な吸着剤であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の当初目標は、水酸化テトラメチルアンモニウムの酸化チタン吸着分離材料の開発、および表面特性を制御することによる吸着性能の変化の評価であった。 平成25年度において、研究開発した酸化チタンは、水酸化テトラメチルアンモニウムに対して吸着能は有していたものの、吸着量は低かった。このため、表面特性の制御による水酸化テトラメチルアンモニウムの吸着性能の評価は、水酸化テトラメチルアンモニウムに対する吸着性能の高かったMFI型ゼオライトを用いて行った。結果として、表面修飾は水酸化テトラメチルアンモニウムの飽和吸着量には大きな影響を及ぼさないことが明らかになった。このことは、酸化チタンにおいても同様であると推察される。従って、平成25年度における研究は、吸着性能が十分な酸化チタンの開発について、遅れが生じているものの、その他の項目については、予定通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては、粉末状吸着剤を適用可能な流動床型カラム吸着システムの開発に着手する。ここでは、平成25年度において高い吸着性能を有していることが明らかとなったMFI型ゼオライトを用いて、研究計画に記載の手法にて研究を遂行する。 加えて、吸着性能が十分に高い酸化チタン吸着剤の開発を並行して行う。ここでは、酸化チタンをアルカリ金属と共に焼成することにより、チタン酸へと変換し、吸着性能の向上を試みる。
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