研究課題/領域番号 |
25420820
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
堀越 智 上智大学, 理工学部, 准教授 (50424784)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロ波化学 / ホットスポット / 固体触媒 / 有機合成 |
研究概要 |
申請者らはマイクロ波による固体触媒表面で発生するホットスポットを、ハイスピードカメラで始めて観測に成功した。また、このホットスポットは固体触媒粒子間で発生することを予想した。本年度はこの予測を実証するため理論と実験を行った。申請で購入したベクトル・ネットワークアナライザにより活性炭(触媒担体)や溶液の誘電因子を実測し、そのデータを用いた触媒近傍の電場強度のシミュレーションを行った。電磁界シミュレーターとしてCOMSOL Multiphysicsを用い、模擬的に作成した活性炭粒子をトルエンなどの溶媒中に分散させ、2.45GHzマイクロ波を照射し、粒子間の位置に対する電場の強度を可視化した。様々な間隔で計算を行うと、数マイクロメータの間隔に粒子が離れると電場が数百倍に集中することが示された。このような現象は、金属ナノ粒子などで見られる表面増強プラズモンに類似の現象であることが分かった。また、実験観察においてホットスポットの発生メカニズムは活性炭表面の分極が関連していると予想できたため、マイクロ波の電場や磁場の方向によって発生効率が変わると考えられる。この点は、次年度の実験で証明する。 マイクロ波の吸収のない樹脂基盤へ、様々な間隔で活性炭粒子を固定化し、マイクロ波照射によるホットスポットの発生効率や発生のために必要な間隔を観察すると、約9マイクロメートルの間隔が最もホットスポットが発生することが分かった。理論的に算出された結果と実験値が合致したことから、シミュレーションの精度が高いことが示された。また、溶媒を水などの極性溶媒に変えるとホットスポットの発生挙動が変化することが分かった。一方、金属触媒を担持させた活性炭粒子では、ホットスポットに対して金属触媒の影響がないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の申請予算の大半はベクトル・ネットワークアナライザの購入を予定しており、この点は研究開始後すぐに購入できたため時間的ロスもなく計画通り研究を進めることができた。また、研究自体も大きな問題はなく、スケジュール通りの理論計算と実験から考察を導き出すことができたため、予定通りの結果を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
申請計画に基づき、シングルモードアプリケータを試作し、電場と磁場に対するホットスポットの振る舞いや、マイクロ波周波数効果の影響などを調べる。
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