研究概要 |
本年度は、金属ナノ粒子@コアシェルおよび金属ナノ粒子@MOFの合成と物性、活性評価を中心に研究を進めた。大きな細孔を有するMOF であるMIL-101に白金やパラジウムの化合物を担持させ、一酸化炭素共存下で水素還元を行うことにより、白金、パラジウムや白金@パラジウムコア・シェル等の多面体ナノ粒子をMIL-101に固定化した。合成した触媒を走査透過電子顕微鏡(STEM)で観察した結果、Pt/MIL-101での白金ナノ粒子は立方体、Pd/MIL-101でのパラジウムナノ粒子は正四面体、Pt@Pd/MIL-101での白金@パラジウムコア・シェルナノ粒子は正八面体で、それぞれMIL-101に固定されていることが分かった。それらの金属ナノ粒子・配位高分子複合体の触媒活性を、流通系触媒活性評価装置により一酸化炭素の酸化反応について評価した。その結果、四種の触媒とも150℃から活性が見られ、Pt/MIL-101とPt@Pd/MIL-101では175℃で100%の転化率が得られた。CO転化率から作成したアレニウスプロットによる活性化エネルギーは、それぞれPt/MIL-101 : 69.0 kJ mol-1, Pd/MIL-101 : 77.8 kJ mol-1, PtPd/MIL-101 72.7 kJ mol-1, Pt@Pd/MIL-101 62.6 kJ mol-1と見積もられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の成果は、新しい触媒技術として革新的であったので “Metal-Organic Framework-Immobilized Polyhedral Metal Nanocrystals: Reduction at Solid-Gas Interface, Metal Segregation, Core-Shell Structure and High Catalytic Activity”という題名で、インパクトファクターの高いアメリカ化学会誌 (Journal of the American Chemical Society, 135, pp. 16356-16359) において発表することができた。また、本成果は3月に日本化学会第94春季年会において「金属ナノ粒子を固定化した多孔性配位高分子の触媒活性評価」という題名で発表も行った。さらに2014年9月に開催される国際学会4th International Conference on Metal-Organic Frameworks and Open Framework Compounds (MOF 2014)においても発表する予定である。
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