研究課題
基盤研究(C)
【発現量制御発現システムの整備】 申請者らは、M. thermoacetica ATCC 39073株への遺伝子導入および発現には成功しているが、目的物質を効率的に生産する為には遺伝子の発現比率を適切に制御する必要がある。そこで、まず定量PCR法によりATCC39073株の解糖系、Acetyl-CoA経路など一次代謝経路酵素遺伝子や、ジャイレースなどのハウスキーピング遺伝子を中心に、それぞれの転写量を網羅的に測定、プロモーターの転写活性を評価した。次いで、T. ethanolicus由来のβ-ガラクトシダーゼをマーカー遺伝子としてそれぞれのプロモーターと連結し、pyrFとともにATCC39073株に導入し、翻訳活性をカタログ化した。【複数選択マーカーの取得】 現在、確実に使用できる選択マーカー遺伝子はpyrFのみであるが、その他に抗生物質耐性遺伝子マーカーを使用可能とするため、ATCC 39073株がカナマイシンに感受性をもつことを利用し、耐熱性カナマイシン耐性遺伝子を、G3PDHプロモーターに連結し、ATCC39073株に導入し選択マーカとして利用できることを示した。【エタノール生産変異株の製作】 本プラットフォームの有効性を示すために、これまでに構築した遺伝子組み換え法を適用し、M. thermoacetica ΔpyrF破壊株へのエタノール生産遺伝子を導入した変異株を作製した。具体的には、Moorellaがもつアルコール脱水素酵素遺伝子adhA、およびアルデヒド脱水素酵素遺伝子aldhの本来のプロモーター配列を実績のあるG3PDHプロモーター配列などに置き換えた人工オペロンを構築し、M. thermoacetica ΔpyrF破壊株に導入した。詳細は現在、解析中である。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度計画書に記載した研究計画は、サブテーマ1. 遺伝子発現制御法の高度化(1-1.発現量制御発現システムの整備、1-2. 複数選択マーカーの取得)、サブテーマ2. 有用物質生産変異株の分子育種(2-1. エタノール生産変異株の製作、2-2. 野生株代謝フラックス解析)である。この中で、野生株代謝フラックス解析以外は、ほぼ当初の目的を達成しており、順調に進展していると考えている。2-2. 野生株代謝フラックス解析に関しては、解析費用が高価であることから、今後、共同研究も含め、エタノール生産変異株の解析を同時に行うことで効率的に解析を進める予定である。
研究は概ね順調に進展しているので、基本的には計画書通りに研究を推進したい。一つに、平成25年度にプロモーター情報で得られた情報に基づきエタノール生成変異株の代謝経路の最適化を行い、さらに高効率なエタノール生産変異株を取得する。例えば、開発したマーカー遺伝子を用いて、phosphate acetyltransferase遺伝子またはAcetate kinase遺伝子を一部または全て欠損させることにより、酢酸生成を遮断した変異株を得る。さらに、この変異株にエタノール生成遺伝子などの各種有用物質生産遺伝子を導入した変異株を育種・目的産物の生産性などを確認する。さらに、本変異株と野生株の代謝フラックス解析を実施し、有用物質生産株の高性能化に向けた情報を得る。
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FEMS Microbiology Letters
巻: 343 ページ: 8-12
10.1111/1574-6968.12113
http://home.hiroshima-u.ac.jp/~nyutaka/An_Metabo/Biogas_Conversion.html