研究課題/領域番号 |
25420839
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
崎山 亮一 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30408471)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腹膜透析 / 積層化細胞シート / 溶質透過係数 / 腹膜組織モデル / 再生治療 / 組織工学 / 化学工学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、in vitroで腹膜組織を構築し、その機能評価系を確立し、新治療法を開発することである。2014年度は以下の項目を行なった。 積層化細胞シートの作製:腹膜の組織を構成する細胞として、血管内皮モデルではヒト血管内皮細胞株(HUVEC)、間質層モデルではヒト線維芽細胞株(NHDF)、中皮層モデルではヒト中皮細胞株(Met-5a)をそれぞれ温度感受性培養皿で培養し、2つの方法で積層化を試みた。1つ目は、スタンプ法とよばれるゼラチンスタンプを利用した方法である。ゼラチンスタンプをあらかじめ作製し、そのスタンプをコンフルになったMet-5aにのせ低温(20℃)インキュベータに移すことで、培養皿から単相の状態そのままにMet-5aがゼラチン側に転写される。次に、NHDF、次にHUVECの細胞をゼラチンに接着させ、最後に37℃インキュベータでゼラチンを溶解することで、下からHUVEC- NHDF- Met-5aの3層の細胞シート作製に成功した。2つ目はゼラチン法である。コンフルになったMet-5aに加温したゼラチンを注ぎ、20度でゼラチンを固まらせる。そのゼラチンをとり、コンフルのNHDFの上に置き20℃で培養、次にHUVECの上にゼラチンを移動させ、20℃で培養し、最後に37℃インキュベータでゼラチンを溶解することで、下からHUVEC- NHDF- Met-5aの3層の細胞シート作製に成功した。 積層化細胞シートの溶質透過試験:3層細胞シート作製後は、溶質の透過係数を測定するために3層細胞シートをトランスウェル上に移して蛍光デキストランで評価した。しかしながら、評価中に細胞シートの崩壊などがあり、3つの細胞に適した培地等の今度の検討が必要であった。 以上の結果、腹膜組織モデルの構築は、in vitroでの腹膜機能評価法の確立を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中皮細胞―線維芽細胞―血管内皮細胞の3層組織を有する腹膜組織モデルを構築し、温度感受性培養皿からトランスウェルに移すことに成功した。しかしながら、トランスウェルに移し、透過係数を測定している時に、培地成分の問題などから3層細胞シートが崩壊したことで透過係数を測定することができず、現在、トライアンドエラーの繰り返しである。
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今後の研究の推進方策 |
トランスウェルに3層細胞シートを移した後に、3層細胞シートが崩壊しない培養培地を検討する。DMEM培地を用いた細胞の共培養などはあるが、中皮細胞―線維芽細胞―血管内皮細胞に適した培地の報告はないので、トライアンドエラーを繰り返す。このとき、膜間抵抗TERを測定し、3層細胞シートの強度を測定することで、培地が適しているかどうか判断する。トランスウェル上での3層細胞シートが強度を保っていれば、溶質透過係数が算出可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitro での腹膜組織の構築に時間を要した。中皮細胞の培地、線維芽細胞の培地、血管内皮細胞の培地のストックがあったため、その消費を優先した。そのため、培地購入費用が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
培地やトランスウェル、遺伝子検出機器購入にあてる予定である。
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