獲得免疫系のT細胞活性化機能を有するリポソームワクチンとして、リン脂質DMPCと非イオン性界面活性剤Tween 80からなるハイブリッドリポソーム(DMPC/Tween 80)にヒトMUC-1ムチン合成抗原ペプチドとT細胞副刺激mB7-1組み換えタンパクを組み込んだ複合リポソームを調製し、がんモデルマウスに対する免疫賦活効果をin vivoで検討した。PBS(-)を投与したコントロール群、DMPC/Tween 80投与群、DMPC/Tween 80-MUC-1投与群、DMPC/Tween 80-MUC-1/mB7-1投与群にC3H/Heマウス(5週齢、雌)を群分けし、1週間間隔でサンプルを5回尾静脈より投与した。投与期間中、コントロール群と比較して、いずれのサンプル投与群でも体重に大きな変化は観測されず、状態観察にも異常は見られなかった。サンプル投与終了一週間後、ヒトMUC-1を外来性に発現しているマウス乳がん細胞(MM46-APR-MuC1 c1.1細胞)をマウスの腹腔に移植した。移植後50日目において、マウスの平均生存日数は、コントロール群が22.0日、DMPC/Tween 80投与群が21.6日、DMPC/Tween 80-MUC-1投与群が28.6日、DMPC/Tween 80-MUC-1/mB7-1投与群が29.8日となった。がん細胞移植マウスの延命率は、コントロール群に対して、DMPC/Tween 80-MUC-1投与群が130%、DMPC/Tween 80-MUC-1/mB7-1投与群が135%となり、リポソームワクチンによる延命効果の可能性が示唆された。
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