研究課題/領域番号 |
25420843
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
市原 英明 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (70369114)
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研究分担者 |
松本 陽子 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (00133562)
上岡 龍一 崇城大学, 生物生命学部, 客員研究員 (70099076)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 癌 / 転移 / シグナル伝達 / ナノメディシン / in vivo |
研究実績の概要 |
(1)ハイブリッドリポソーム(HL)は、ヒト大腸がん(WiDr)細胞の肝転移モデルマウスに対して、HLの静注により腫瘍が縮小する顕著な治療効果を示した。組織学的分析により、HLで治療した大腸がん肝転移モデルマウスの肝臓内の腫瘍部分で、アポトーシス誘導が確認された(Anticancer Research, 34, 4701-8 (2014))。
(2)HLは、in vitroにおいて関節リウマチ(RA)滑膜(HFLS-RA)細胞の増殖をアポトーシス誘導により顕著に抑制した。in vivoにおいて、RA自然発症(SKG)マウスに対してHL投与により足関節の腫れおよび変形が減少した。組織学的解析により、RAに特徴的なパンヌスの形成を抑制することによる顕著な治療効果が確認された(Drug Delivery, (2015), in press.)。
(3)乳がん(MDA-MB-453)細胞に対HL-25の血管新生抑制を伴う治療効果をin vitroおよびin vivoで検討した。ヒト臍血管内皮細胞(HUVEC)の管腔形成に対するHL-25の抑制効果がin vitroで得られた。抗がん剤を含まないHLの静脈投与によりヒトの乳がんモデルマウスの腫瘍体積の顕著な減少が確認された。HL-25で治療されるヒト乳がんモデルマウスの血管新生抑制効果は、CD34を用いた免疫染色方法により観察された。ヒト乳がんモデルマウスのHL-25のみによる抗血管新生活性を伴う治療効果がin vivoで初めて明らかになった。(Journal of Carcinogenesis & Mutagenesis, (2015), in press.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイブリッドリポソーム(HL)を用いたがん治療に関し、(1)ハイブリッドリポソーム(HL)は、ヒト大腸がん(WiDr)細胞の肝転移モデルマウスに対して、HLの静注により腫瘍が縮小する顕著な治療効果を示した。組織学的分析により、HLで治療した大腸がん肝転移モデルマウスの肝臓内の腫瘍部分で、アポトーシス誘導が確認された(Anticancer Research, 34, 4701-8 (2014))。 (2)HLは、in vitroにおいて関節リウマチ(RA)滑膜(HFLS-RA)細胞の増殖をアポトーシス誘導により顕著に抑制した。in vivoにおいて、RA自然発症(SKG)マウスに対してHL投与により足関節の腫れおよび変形が減少した。組織学的解析により、RAに特徴的なパンヌスの形成を抑制することによる顕著な治療効果が確認された(Drug Delivery, (2015), in press.)。 (3)乳がん(MDA-MB-453)細胞に対HL-25の血管新生抑制を伴う治療効果をin vitroおよびin vivoで検討した。ヒト臍血管内皮細胞(HUVEC)の管腔形成に対するHL-25の抑制効果がin vitroで得られた。抗がん剤を含まないHLの静脈投与によりヒトの乳がんモデルマウスの腫瘍体積の顕著な減少が確認された。HL-25で治療されるヒト乳がんモデルマウスの血管新生抑制効果は、CD34を用いた免疫染色方法により観察された。ヒト乳がんモデルマウスのHL-25のみによる抗血管新生活性を伴う治療効果がin vivoで初めて明らかになった。(Journal of Carcinogenesis & Mutagenesis, (2015), in press.)。 以上のように、計画通り研究が進行しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、HLによるがん治療効果に関し、(1)in vitroにおいて、スクラッチアッセイおよびトランスウェルチャンバーを用いたmicro poreフィルターアッセイにより浸潤・転移抑制効果を検討していく予定である。(2)がん転移モデルマウスを用いて、HLをモデルマウスの静脈内に投与して腫瘍体積および重量を測定し、治療効果を検討する予定である。(3)in vitroにおいて、タンパク分解酵素MT1 -MMPおよび遊離型のMMPs(-2,-9)の解析を行い、転移・浸潤抑制メカニズムを検討する。(4)in vivoでの固形腫瘍の免疫染色による抗転移メカニズム解析を検討する。(5)担がんマウスを用いた体内動態試験を検討する。 このように、in vitroでのがん細胞に対するHLのみによる抗転移効果を明らかにし、そのメカニズムを解明する。また、in vivoでの転移モデルマウスに対する治療効果を明らかにする。さらに前臨床試験によりHLの安全性を確認し、HLの抗転移効果によるがん治療を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の学会発表の際の交通費が残ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に消耗品費として使用する予定。
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