研究課題
本研究では、CpGオリゴヌクレオチドによる抗原特異的抗体産生細胞の活性化メカニズムを解明し、効率的な抗体作製技術の確立を目指した。平成25年度は、抗体及び抗体産生細胞の活性化の定量的評価のために、抗体産生細胞から抗体遺伝子を単離・再構成し、抗体を発現させ、その特異性・親和性を解析する手法を確立した。平成26年度には、Mycobacterium tuberculosisが持つタンパク質中の25残基のペプチド(peptide25)による抗体産生細胞の活性化を遺伝子発現・サイトカイン発現の測定により調べ、ヘルパーT細胞のTh2への分化による抗体産生細胞の活性化のメカニズムを明なにした。peptide25とCpGオリゴヌクレオチドの同時投与により、より強力に抗体産生細胞が誘導されることがわかった。平成27年度は、インビトロ免疫におけるCpGオリゴヌクレオチドの抗体産生細胞の活性化メカニズムについて調べた。またpeptide25とCpGオリゴヌクレオチドにより活性化される細胞の産生する抗体が、抗原に対する高い特異性・親和性を持つ抗体であることを明らかにした。その抗体のサブタイプは、抗原親和性の低いIgMではなく、より抗原特異性・親和性が高いIgG1であった。インビトロ免疫法は、微量の抗原で免疫が可能である、免疫期間がインビボ法に比べて格段に短い等の利点がありながら、有効な有効な免疫活性化の方法がなく、誘導される抗体のサブタイプは特異性の低いIgMであり、大きな問題であった。本研究で見出された免疫系刺激法により、優れたモノクローナル抗体、すなわち抗原特異性及び親和性が高い抗体を産生する細胞を特異的に活性化することができる。特に本刺激法を用いたインビトロ免疫法においては、従来不可能であったIgG1抗体が作製可能であり、有用抗体作製法の一つとして期待される。
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Medical Research Archivs Vol 2, No 7 1-14, 2015
巻: 2 ページ: 1-14
http://dx.doi.org/10.18103/mra.v2i7.427