研究課題/領域番号 |
25420846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
高木 正平 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10358658)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Karman渦列 / 絶対不安定 / 対流不安定 / Karman渦列の抑制 |
研究概要 |
断面形状がNACA0006のような二次元対称薄翼が一様な流れの中に置かれた場合、一様速度と翼弦長に基づくレイノルズ数が10,000程度では翼後流には広帯域の微小変動が指数成長する。この変動成長は対流不安定に起因し、古典的な線形安定理論で予測できる。しかし、薄翼の迎角を徐々に増加させるとある角度からある特定の周波数を持つ速度変動が模型後縁近傍領域で急激に成長する位置を実験的に特定できた。この急激な変動の成長と周波数の選択に絶対不安定が関与することは知られているが、この不安定が起こる必要十分条件はまだ明らかにされていない。翼後流における逆流の存在は絶対不安定の必要条件であるが、十分条件を抽出するために、当該年度において変動の発生位置近傍における平均速度および速度変動の分布計測を熱線風速計とレーザドップラー流速計を用いて実施した。 熱線風速計は逆流領域を除いて速度分布を高精度に計測できた。一方、レーザドップラー流速計で逆流計測を実施した。当初翼軸に直交する面内の流速分布を行い、後流の幅に比べてレーザー流速計の焦点(計測領域)が大きいために、十分な精度を確保できなかった。次いで光軸を模型軸と一致させた計測を行ったが、翼後縁とレーザビームとの干渉で速度分布計測はできなかった。 そこで来年度予定していたカルマン渦列の抑制実験を前倒しして実施した。翼弦長さの1/40程度の細い針金を翼後縁から流れと直角方向に翼弦長さ離しても渦列の形成は完全に抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では絶対不安定の発生位置近傍領域においてレーザドップラー流速計を用いた高精度な平均速度分布の取得を計画していたが、流速計の計測点(領域)が予想外に大きく、十分な精度で計測できなかった。Particle Image Velicimeter(PIV)といった非侵襲の計測手法を検討する必要があることが分かった。このため来年度実施予定のカルマン渦列制御実験を前倒した。翼弦長さの1/40程度の細い針金でも、渦列の抑制に有効であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
翼後流における逆流を含んだ平均速度分布計測にPIVが有効であるかどうかについて、十分検討した上で、有効と判断されたら実施する予定である。十分な精度を確保できない場合には、翼周りの数値計算を専門とする研究者と連携し、高精度数値計算をお願いする予定である。 一方、研究を前倒したカルマン渦列翼実験については、熱線風速計を用いた平均速度並びに速度変動計測を継続的に実施して、渦列抑制効果について詳細に調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
レーザドップラー流速計を用いた速度場計測について当初予定していた精度が確保できず、計測手法の再検討を迫られた。また、新所属における実験の再立ち上げ費用が必要である。 次年度使用額でPIV計測など新しい計測手法の可能性を探るための試験と実験再立ち上げのための資材購入を予定している。
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